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2015 / 10 / 10 ( Sat )
婚外子相続差別、違憲 まだ続く法の下の不平等

2013年9月6日 福井新聞

 生きていれば、時代の流れに左右される。変わらないものがあるとすれば、法の下における平等、個人の尊厳。まして生まれながらの差別は許されない。

 結婚していない男女間の子(婚外子)に対する民法の相続格差規定について、最高裁大法廷が「違憲」の初判断を示した。「合憲」とした1995年判例を裁判官14人全員一致で見直した。政府は早ければ秋の臨時国会で民法改正を目指す。世界の潮流から立ち遅れた不当差別にいち早く終止符を打つべきだ。

 明治民法以来、引き継がれてきた嫡出子と婚外子の格差をどうとらえるか。このルールは、婚外子の遺産相続分を、結婚している夫婦の子である嫡出子の半分に抑えるものだ。

 大法廷の結論は「家族観が変わり、相続分を差別する根拠は失われており、憲法が保障する法の下の平等に反する」と明確に示した。本人の意思や努力とは無関係に、生まれた瞬間決まってしまう「社会的身分」は、戦後、批判がくすぶり続けた規定だ。事実婚やシングルマザーが増え、国民意識も変わった。時代のすう勢を考慮すれば、違憲判断は遅すぎたといえる。

 長く保持し続けた民法規定は「法律婚の尊重と婚外子の保護の調整を図る」としている。95年大法廷の合憲判断も「個人の尊厳」より「法律婚の尊重」を優先させた。ただ裁判官15人のうち5人は違憲の反対意見、合憲とした10人のうち4人も「法改正が適当」などと補足意見を付けていた。その後も小法廷が5回合憲としたが、「合憲の結論を辛うじて維持したとみることができる」状況だった。

 合憲判断当時は、法相の諮問機関である法制審議会で相続差別撤廃の議論が進んでいた。このことが立法府を尊重する「司法消極主義」に陥り、国会も保守系議員の強い反対で動かなかった。結局は三権の怠慢、責任放棄のもたれあいが「時代錯誤」を長期化させたといえる。

 今回の審理対象の相続は、2001年7月と11月に開始された。最高裁は、国連の再三にわたる是正勧告に加え、戸籍の記載などで区別をなくすようになった社会情勢の変化などから、「遅くとも同年7月には規定が違憲だった」とした。ただ「それ以降の解決済みの相続には影響を及ぼさない」とした。混乱を防ぐためだろうが、不公平を温存させた責任は重い。

 相続格差以外にも差別的扱いがある。死別や離婚した母親には税制上の優遇措置が提供されるが、未婚の母には適用されない。これも社会のひずみだ。

 その司法も変わりつつある。5年前には最高裁が、婚外子の国籍取得を困難にする国籍法の規定を違憲と判断。今年3月には東京地裁が知的障害などで成年後見が付いた人の選挙権を奪う公選法の規定を違憲とし、法改正につながった。少数派の権利保護は司法の責務である。

 だが、伝統的日本の家族形態を重視する立場から、今回の判断を批判する声は国民や国会の中にもある。あるべき社会の姿とは何か。平等とは何なのか。家族観や社会観、「家」を考える機会にしなければならない。
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