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2014 / 10 / 10 ( Fri )
婚外子規定 差別生む戸籍法の改正必要
2013年11月15日(金)  愛媛新聞
 結婚していない男女間の子(婚外子)の遺産相続分は法律上の夫婦の子の半分―。政府は、子どもにとって理不尽なこの規定を削除する民法改正案を決定し、衆院に提出した。今国会中に成立する見通しだ。
 最高裁が9月、民法規定を「法の下の平等を定めた憲法に反する」と判断したことを受けての当然の対応である。成立すれば、婚外子の遺産相続分は法律婚の子と同じになる。遅きに失したが明治以来の婚外子差別の歴史に終止符を打つ大きな一歩にしたい。
 しかし、差別解消への期待には冷や水が浴びせられた。
 政府は、出生届に「正統な子」という意味の「嫡出子」か「嫡出でない子」かを記載する規定を削除する戸籍法改正案については、自民党保守系議員の反発を受け、提出を見送るという。
 問題は財産分与だけにあるのではない。法が、出生による差別を生まれたときから正当化し助長していることこそ問題なのだ。金銭の話に矮小(わいしょう)化してはならない。
 どんな親の下に生まれるか子どもには選びようがない。結婚するかどうかは大人の事情であって、子どもに何の責任もない。民主主義の基本理念である個人の尊厳は最優先で守らなければならない。
 出生届の記載に関しては、婚外子かどうか区別しなくても行政サービス実施に不都合はない。最高裁も、区別を義務づけた戸籍法の規定は「必要不可欠とは言えない」と判断している。
 民主党は議員立法で戸籍法改正案を提出する方針だ。公明党も改正に前向きだが、自民党との間で対応に苦慮している。国会では差別の本質について論を深め、法改正へ歩を進めてもらいたい。
 自民党保守派には、民法改正についても「家族制度が壊れる」として根強い反発が残る。最高裁の違憲判決を批判し「司法に対するチェック機能を強めるべきだ」との声すら飛び出した。本末転倒であり、憲法の三権分立の否定にもつながりかねない。
 弱者救済は本来、国会の責務だ。少数者である婚外子の不当な差別を政治が放置してきたことこそ非難されてしかるべきである。国連の人権機関は日本に繰り返し是正勧告している。
 未婚の母には税法上の「寡婦控除」も適用されず、住民税や保育料も高い。政府が少子化対策をうたう一方で「同じ子なのに存在が軽んじられ悔しい」と苦しみながら子育てする母たちがいる。
 家族の在り方は多様化している。法律婚は否定しないが今後も増えるであろう事実婚やシングルマザーなど、変化する社会に対応し、いまを生きる人々を支える法整備も大切にしたい。

 「婚外子」差別に謝罪と賠償を求める裁判を支援する会
Association for the Support of Children out of Wedlock
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