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2014 / 08 / 05 ( Tue )
婚外子規定 しぶしぶ削除の時代錯誤
信濃毎日新聞 2013年11月07日(木)

 両親が法律上の結婚をしていない子(婚外子)の遺産相続分を、嫡出子の半分とする規定を民法から削除することについて、自民党の法務部会がようやく了承した。
 公明党は既に削除を了承済み。民主、みんな、社民の3党も同様の民法改正案を参院に提出している。最高裁がこの規定を違憲と判断してから2カ月、法改正にめどが立った。
 けれど、手放しでは喜べない。改正の手続きに時間がかかったのは、自民党内の保守派が「家族制度が壊れる」と強く反対したためだ。法務部会の了承にも「条件」が付いている。
 代わりに党内に「家族の絆を守る特命委員会」を設け、配偶者への相続分を拡大し、結果として嫡出子への相続が婚外子に比べて多くなる仕組みを残すことなどを検討するとしている。
 これでは法改正が骨抜きになる心配が大きい。婚外子がいない多くの家庭の相続にも影響が及ぶ。うなずける話ではない。
 保守派からは「結婚制度を壊しかねず、おかしい。単に財産分与の問題ではない」といった訴えが聞かれた。確かに、遺産相続だけの問題ではない。
 近年は結婚を選ばない事実婚やシングルマザーが増えている。一昨年に生まれた婚外子は2万人を超え、出生数全体に占める割合は年々高まっている。最高裁の判断は、明治から100年続く民法の規定を、現代の結婚観や家族観に沿った内容に改めよ、と示唆したとも受け取れる。
 夫婦別姓制度の導入や女性の再婚禁止期間の短縮も、本来なら併せて改正が求められる重要な課題だ。出生届に婚外子か嫡出子かを記載する規定がある戸籍法の同時改正も期待されている。
 しかし、いまの自民には婚外子規定の撤廃が精いっぱいらしい。「違憲判断が出ていないのに改正するのか」との声も挙がったという。司法の判断がなくては動かないのでは、政治の責任を果たしているとは言えないだろう。
 若い世代が置かれている状況を考えてみてほしい。就職先がなく、やっと仕事に就いても非正規雇用だったり、労務管理のでたらめな「ブラック企業」だったり…。身分も収入も安定せず、結婚や出産をためらう人は多い。
 保守政党として家族制度を大切にするというのなら、若い人たちが生き方、働き方に合わせて多様な家族を築ける社会づくりにこそ、力を注ぐべきだ。
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