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2016 / 02 / 06 ( Sat )
婚外子の相続 問われる政治の不作為
北海道新聞 2013年9月5日
 結婚していない男女間に生まれた婚外子(非嫡出子)の遺産相続分を法律上の夫婦の子(嫡出子)の半分とする民法の規定は憲法に違反し、無効である。
 相続をめぐる2件の裁判で最高裁大法廷は、こんな決定をした。合憲とした1995年の判例を変更するもので、裁判官14人の全員一致だ。
 2件の裁判のうち、相続財産の持ち主の死亡時期が早い方の2001年7月には、既にこの規定が法の下の平等を定める憲法14条に違反していたと結論づけた。
 理由は「父母が婚姻関係になかったという、子に選択、修正の余地のない理由で不利益を及ぼすのは許されず、個人として尊重し、権利を保障すべきだとの考え方が(社会に)確立されてきている」とした。
 ただ、時代の変化を考えれば当然の判断であり、遅きに失した。政府と国会は重く受け止め、差別規定を速やかに撤廃しなければならない。
 1898年(明治31年)、明治民法に設けられ、戦後の民法に引き継がれた。長年、婚外子差別と批判され、違憲の疑いを指摘されてきた。
 しかも、事実婚や未婚の母が増えるなど家族形態は多様化、家族観は変化した。1995年の合憲判断後、地裁、高裁で違憲判断が相次ぎ、判例見直しは時間の問題だった。
 見過ごせないのは政治の不作為だ。法制審議会は96年、この規定をなくす民法改正要綱を法相に答申したのに、政府は与党内の異論を理由に法案を提出しなかった。
 国会も同罪だ。野党は再三、改正法案を提出したが、廃案となった。
 主要先進国でこんな規定を残すのは日本だけだ。国際社会からも厳しい目を向けられている。
 国連の女性差別撤廃委員会は09年の勧告で、女性差別撤廃条約の締約国として差別規定撤廃の義務があるとした。この指摘の重みをあらためて受け止める必要がある。
 政府は規定撤廃に至らない理由に世論の動向を挙げてきた。確かに内閣府のこれまでの世論調査では撤廃反対が賛成を上回っている。
 婚外子はこの社会では少数派だ。その相続には経済的利害に加え、男女間の複雑な感情も絡む。違憲判断に違和感を覚える人もいるだろう。
 政府には、この規定による差別助長など弊害の大きさについて国民の理解を広める対応も求められる。
 96年の民法改正要綱には夫婦が別姓を選べる制度新設などが盛り込まれていることを忘れてはならない。
 答申から17年の社会の変化に応じた再検討は必要だが、要綱の趣旨を踏まえた法改正は急務である。婚外子の相続差別をなくせば済む問題ではないことを政府は認識すべきだ。
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