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控訴審判決チラシ
2007 / 03 / 27 ( Tue )
婚外子差別に謝罪と賠償を!

国、千代田区、福岡市、大阪市を2005年1月24日提訴(本人訴訟)
(1) 国、各自治体は婚外子の続柄差別を維持する旨の文書を送付したことに対して、慰謝料を支払え。
(2) 今後も続柄差別が維持される限り、プライバシーの侵害について損害賠償せよ。
(3) 国、各自治体はホームページに謝罪文を掲載せよ。
2004年11月1日に婚外子を戸籍記載で明瞭に差別するための「男・女」という続柄は、戸籍法施行規則のひな形から消除されました。その結果、婚外子の続柄は「申し出」さえすれば、「長男・長女」式に改められ、差別記載がなくなると広く誤解されています。
しかし、実際は「現行の除籍されていない戸籍」以外の生まれてからの全ての戸籍の続柄の差別記載はそのままです。法務省の要求する「申し出」を婚外子本人の負担で行っても、「申し出」は拒否されます。その上、この差別記載は本人死亡後も80~100年維持されます。かつて婚外子に対する相続差別をおこなっていた諸外国においても、公的身分証明において続柄差別記載のような明示的差別をする例はありません。
また、この差別記載を各種書類に書くことを行政は婚外子に対して強制してきました。たとえば、婚姻届の父母との続柄欄です。もし、「長男・長女」式に書けば「長・二」を赤ペンで×で消すことを婚外子は衆人環視の中、自治体の窓口で強要されてきました。

控訴審判決   於 東京高等裁判所   
5月30日 (水) 午後1時10分 820号法廷

「婚外子」差別に謝罪と賠償を求める裁判を支援する会
Association for the Support of Children out of Wedlock
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控訴審判決チラシ
2007 / 03 / 27 ( Tue )
国際人権自由権規約による第5回政府報告を2006年12月に外務省のホームページにおいて、公表した。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kiyaku/pdfs/40_1b_5.pdf

第26条:法の下の平等
(2)戸籍上の表記
戸籍の父母との続柄欄の記載方法については、2004(平成16)年3月2日に東京地方裁判所で言い渡された判決(同裁判所1999(平成11)年(ワ)第26105号事件)において、戸籍の父母との続柄欄における嫡出子と嫡出でない子を区別した記載について、プライバシー権との関係で問題を指摘する判断が示された。
この判決の指摘や父母との続柄欄の記載を改めたいとする国民からの要望なども踏まえて、2004(平成16)年11月1日法務省令第76号をもって戸籍法施行規則の一部が改正され、嫡出でない子の戸籍における父母との続柄の記載は、嫡出子と同様とすることとされ、従前の戸籍記載については、当事者の申出に基づいて更正できることとされた。 (88P)

日本政府は、国際人権規約委員会に対する政府としての報告書の中で、婚外子戸籍続柄記載について、
「父母との続柄の記載は、嫡出子と同様とすることとされ、従前の戸籍記載については、当事者の申出に基づいて更正できることとされた。」と、記載している。

「当事者の申出に基づいて」「従前の戸籍記載」にある全ての続柄差別記載が「更正できることとされた。」のであれば、この裁判は起こらなかった。日本政府は、当事者が申し出をしても、申し出をはねつけて、差別続柄記載を維持していることを国連に対して隠蔽しようとしている。

戸籍第777号(平成17年10月)によると、婚外子続柄差別記載が「戸籍制度の目的との関連で必要性の程度を越えており、プライバシー権を害しているものといわざるを得ない。」と判示されたので、続柄差別を改めたとする。その上で法務省が、対象を除籍されていない現行の戸籍に限った理由を、「市町村区の事務負担が考慮されたから」であるとしている。

日本国は、婚外子の人権回復より、公務員の事務負担への配慮を優先したことを、国連に報告すべきだ。

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控訴審準備書面(1)
2007 / 03 / 24 ( Sat )
第一 婚外子差別の違憲性について

日本国憲法には、

第13条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。 

第14条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

第24条 2 配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。

として、立法権はもとより行政、司法等の国政の限界を示す明文の規定がある。
裁判所が司法審査をするにあたっては、最高法規である憲法の明文規定によらねばならないのは、自明のことである。憲法に組み込まれた人権は最高規範性を有し、憲法の特質としてその名宛人は公権力である。これは、我が国が政府の権力をより次元の高いルール(憲法)で制約するという立憲主義をとっているからである。当然にも、行政裁量もこの限界によって制限されているのである。

このことは、「嫡出・非嫡出区分の憲法適合性」(同志社大学法学部教授 釜田泰介 同志社法学 五十七卷三号 2005年9月)(甲第47号証)で、以下の如く論じられているところである。

憲法13条の個人尊重の原則、14条平等の原則からは、立法、行政、司法における公的判断は、全ての個人との間で正確でなければならないのである。公的判断形成に際して行政が使用してはならない基準が憲法において明文で示されているのである。すなわち、公的判断形成にあたっては、個人は人種、性別、社会的身分等の何らかの集団の一員として評価されてはならないのである。また、公権力の行使に際しては、正確な個別判断を可能にする適正手続きを履行しなければならないのである。

また、日本国憲法は、

第11条 国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。

第97条 この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。 

第98条 この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。

2 日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。 

第99条 天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。

憲法は、全ての国民に「侵すことのできない永久の権利として基本的人権」を保障し、憲法に違反する「法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為」を無効としている。そして、公務員に憲法擁護義務を負わせている。すなわち、行政裁量において、公務員は憲法擁護義務を負っているのである。

日本国憲法の下では、婚外子という社会的身分に基づく差別は明文で禁止されている。しかし、国は婚外子に対して戸籍続柄差別記載を行い、「婚外子は、(中略)就学、就職及び結婚等の社会関係において今なお看過し難い不利益な取扱いを受けているところ、社会生活においては、多くの場面において戸籍の謄本の提出が求められることがあり、その戸籍の記載によって婚外子であることが判明し、差別等が助長されることが認められる。」(平成11年(ワ)第26105号 東京地方裁判所平成16年3月2日判決)という事態を招いた。

また、婚外子当事者は「男・女」という、嫡出子とは別異の屈辱的続柄を公的書類に記述することを強制されてきたのである。このことによる、精神的苦痛は計り知れない。

2004(平成16)年11月1日に続柄差別を撤廃したとされるが、法務省は従前の戸籍の更正を拒否するという憲法擁護義務を逸脱する通達を発出した。このような通達の発出は、国が婚外子の人権をないがしろにしても差し支えないとしているからこそできることである。これは、国による婚外子に対する新たな侮辱であり、この通達によって当事者の精神的苦痛は倍加したのである。

実際に、現行の除籍されていない戸籍の続柄のみを更正したとしても、従前の戸籍が自己の証明として要求されるという現実がある。例えば、外国人と婚姻しようとする時である。

ドイツへようこそ!  ドイツ人との結婚に必要な書類
http://www.tokyo.diplo.de/Vertretung/tokyo/ja/01/Seite__ehesachen.html
I. ドイツで結婚する場合

(1) 戸籍謄本(抄本でもよいが謄本の方がよい)

(2) 婚姻要件具備証明書(Ehefähigkeitszeugnis)

(3) 住民票(ドイツの戸籍役場-Standesamt-によっては提出を求められる)

注:離婚歴がある場合、前の結婚及び離婚の記載された戸籍謄本を用意し、その離婚がドイツ法に基づいても有効な離婚であることを、ドイツの法務当局に確認してもらう手続きが別途必要になります(Anerkennung einer ausländischen Entscheidung in Ehesachen nach Art. 7 FamRÄndG)。

自国民を重婚から守るために、「前の結婚及び離婚の記載された戸籍謄本」を要求するのは、当該国として妥当な行為である。このような要求を諸外国はせざるを得ないのである。

その「前の結婚及び離婚の記載された戸籍謄本」は、従前の戸籍であるので、続柄の更正は拒否されるのである。その上、婚外子については、同一人であるにも拘わらず、続柄の記載が戸籍によって異なる記載がされているので、同一人であることの確認について、事情に通じていない外国の法務当局を煩わせているのである。

今日、離婚、再婚は増加し、またもとよりなんらの違法な行為ではない。国際化の進展とともに、外国人との婚姻も珍しいものではなくなった。ところが、婚外子が適法な婚姻をしようとすると、差別続柄が記載された戸籍を要求されるのである。また、同一人であるのに、続柄記載が異なる理由についての説明を求められるなど、精神的苦痛を味あわせられるのである。

婚姻に際して、続柄差別が強行されていることは、準備書面(1)23~24頁に、以下のように記述している通りである。

戸籍続柄は単に戸籍に記載されるだけでなく、続柄そのものの記載を公的書類等に要求されるものである。

婚姻届に父母欄・続柄欄を設けているので、婚外子については続柄差別記載があることによって、婚姻の成立の条件が憲法24条のいう「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立」することはなく、「差別のある社会的身分であることをあからさまにする」ことなしに成立しない。すなわち、続柄差別記載の結果、婚外子については、「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立」しないのである。婚姻するのは本人であって父母ではないので、婚姻届けに父母欄・続柄欄は必須であるとは思えない。しかし、現状はこれらの記載を求めているばかりでなく、日常的に認識されているように「長男・長女」式に書けば「長・二」等を赤ペンで×で消すことを婚外子は衆人環視の中、自治体の窓口で強要されてきた。
このように、続柄差別記載は結果として憲法24条に違反し、法律婚を疎外している。法律婚の成立時に婚外子を侮辱することが「法律上の婚姻によって成立した利益に対する保護を優先する」ことに合致するはずもない。

続柄が更正されていない婚外子については、同様のことが今日も窓口で行われている怖れがあるのである。

そもそも、日本国憲法においては、個人を社会的身分によって別扱いすることは、明文で禁止されているので、婚外子続柄差別記載には違憲の推定が働くのである。まして、戸籍続柄差別によって社会的差別が助長されるという具体的不利益を婚外子は被ってきたのである。

それでもなお国側が、従前の戸籍の婚外子続柄差別記載を維持する行政裁量を行うのであれば、当然にもその行政裁量が憲法に違反しないことの立証責任は被控訴人国らにある。

いわゆる戸籍続柄裁判の2004年3月2日を受けて、「戸籍の記載・婚外子差別はやめよう」と題する、2004年3月7日の朝日新聞社説において、以下のように述べている。(甲第26号証)
 
戸籍の記載・婚外子差別はやめよう

他人はふだん気にとめないが、本人にとっては苦痛でたまらないことがある。戸籍の続き柄欄の記載がその一つだ。
 婚姻届を出した夫婦の間に生まれた子どもの場合、続き柄欄に「長男」や「長女」と記載される。ところが、婚姻届を出していない男女から生まれた非嫡出子は「男」や「女」と記される。だから、嫡出子かどうかがひと目で分かる。この仕組みが、進学や就職、結婚といった人生の節目で婚外子に対するいわれなき差別を生む原因の一つとなってきた。

婚外子は、戸籍における続柄差別記載によって、「この仕組みが、進学や就職、結婚といった人生の節目で婚外子に対するいわれなき差別を生む原因の一つとなってきた。」とする。婚外子は、婚外子続柄差別記載によって、「進学や就職、結婚といった人生の節目で婚外子に対するいわれなき差別」を被ってきたのである。

これは、憲法第13条が保障する、幸福追求権の侵害である。同志社大学法学部釜田泰介教授が「嫡出・非嫡出区分の憲法適合性」で論じられたように、憲法13条の個人尊重の原則、14条平等の原則違反であるばかりではなく、憲法第13条幸福追求権の尊重にも違反している。すなわち、婚外子の関連する戸籍に続柄差別記載を今後も維持することには、違憲の推定が働くのである。

よって、被控訴人国らは、婚外子の関連する戸籍に続柄差別記載を今後も維持しようとするのであれば、それが憲法の明文規定に違反することが推定されるから、違憲でないことを立証する責任を負うものである。

求釈明

1.従前の戸籍の差別続柄の更正を拒否することによって達成しようとする重要法益を明らかにせよ。

2.その重要法益を達成する上で、従前の戸籍の差別続柄を維持することが必要不可欠であることを立証せよ。
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控訴審準備書面(1)
2007 / 03 / 24 ( Sat )
第二 婚外子続柄差別記載の違憲性について

「コメント:婚外子戸籍記載変更請求事件」(国際人権十七号 2006年 現大阪大学法科大学院教授 当時北海道大学教授 棟居快行)(甲第48号証)によれば、嫡出非嫡出という社会的身分で個人を区別することの違憲性を度外視しても、続柄差別記載が違憲であることは、判決が確立してきた法理を当てはめることで、違憲という結論に至るのには充分であるとする。立法目的とそれを実現する手段が甚だしく均衡を欠くときには、いわゆる尊属殺人違憲判決(最高裁大法廷昭和48年4月4日判決 刑集27卷3号)にみるように違憲とされるのである。この論文は、2005年12月11日に、神奈川大学で開催された、第17回国際人権法学会で発表されたものである。この論文は、2004年11月1日に戸籍法施行規則が本件省令により改正された以降も、婚外子続柄差別の違憲性が強力に主張されていることの証明である。

棟居教授は、嫡出非嫡出という社会的身分で個人を区別することの違憲性を度外視するとした上で、続柄差別記載については、戸籍上に身分関係を明示することが立法目的であろうとする。しかしながら、続柄差別記載をしなくとも、身分関係を公証することはできる。現に、2004年11月1日以後に出生した全ての子について、続柄は「長男・長女」式に記載されているが、そのことで、身分関係の公証等に混乱を来したり、窓口業務に支障が生じた等という報道等は一切ない。これは、立法目的である身分関係の公証等に、婚外子続柄差別記載は全く不必要であることが証明されたということである。戸籍上に身分関係を明示するという立法目的と続柄差別記載を強行する事の間に実質的関連性はないのである。

その一方で、婚外子は続柄差別記載によって、就学、就職、結婚等で社会的差別を被ってきているのである。実際的に不必要な戸籍記載によって、甚大な不利益を被ることは、まさに「立法目的とそれを実現する手段が甚だしく均衡を欠く」としなければならない。

平成19年2月5日に控訴人は被控訴人国等に、この件で当事者照会を行った。

被控訴人国らに対して、

被控訴人らは、平成19年1月29日付けの答弁書において、婚外子を続柄欄において差別記載することは不必要とは到底言えないとしている。
それでは、実際に差別記載をすることが、どうような場合に必要であるのかを具体的に例を挙げて答えられたい。
また、戸籍事務において、法務局等からの問い合わせなどから、婚外子続柄差別が撤廃されたことで、業務に支障を来したことを把握しているのであれば具体的に答えられたい。一切問題がなかったのであれば、そのように回答されたい。
等という照会を行った。
もし、続柄差別記載が立法目的と実質的関連性があるのであれば、被控訴人は具体的に例を挙げて回答することができるはずである。

しかし、被控訴人国らは2月16日付けで、「答弁書における主張を正解せず、照会を求める前提を欠くから、回答の必要を認めない。」と回答した。

そこで、控訴人は平成19年2月17日に被控訴人国らに、改めて当事者照会を行った。

1. 民法において、婚外子差別規定があるので、それを戸籍に表記するという
抽象的必要以外に、続柄差別記載を具体的に必要とする事例があれば答えられたい。すなわち、実際に差別記載をすることが、どのような場合に必要であるのかを具体的に例を挙げて答えられたい。具体的な必要性がないなら、そのように回答されたい。
2. また、戸籍事務等において、婚外子続柄差別が撤廃されたことで、業務に支障を来したことを把握しているのであれば具体的に答えられたい。一切業務に支障を来さず、なんらの問題等の発生がなかったのであれば、そのように回答されたい。

これに対して、被控訴人国らは3月2日付け回答で2月16日付け回答を繰り返した。

戸籍に続柄を差別記載する具体的必要など全くないから、事例をただの一つも挙げられないのである。婚外子続柄差別が撤廃されたことで、業務に支障を来したことなどまったくないのである。

被控訴人国らは、続柄差別記載を維持したいなら、戸籍上に身分関係を明示するという立法目的を達成するためには婚外子続柄差別記載を、控訴人の関連する戸籍に今後も維持することが、必要不可欠であることを立証しなければならないのである。すなわち、婚外子続柄差別記載が立法目的を達成するためには具体的に必要であることの立証責任は、もっぱら被控訴人国らにあるのである。

2004年11月1日以降に出生した婚外子については、続柄差別記載は行われていない。戸籍上に身分関係を明示するという立法目的を達成するために続柄差別記載が必要不可欠であるのであれば、国自らが立法目的を果たす義務を怠ったという責めを負わなければならないのである。

被控訴人国らは、3月2日付け回答で、続柄差別記載が具体的必要とされる事例を答えることができず、続柄差別記載が更正されたことで不都合が生じた事例を答えることもできなかった。よって、続柄差別記載は無目的な記載であるという評価が下されることになる。

婚外子は、その無目的な記載によって、就学、就職及び結婚等で戸籍を求められるので差別が助長され、また戸籍が人目にさらされることで差別され、蔑視、侮辱の対象とされるのではないかという怖れをいだかされているのである。

そして、幾多の裁判(国を相手どったものを含む)の判決中で、婚外子に対する就職結婚等の社会的差別等があることを指摘されながら、法務省人権擁護局は、現行憲法施行後、全く婚外子についての人権啓発を行っていない。(国として婚外子についての社会的差別についての啓発活動を全く行っていないことは、平成18年12月13日に、人権擁護局に確認済みである。)行政は婚外子続柄差別記載を強行することで、国民に婚外子は別異の劣位の存在であるという観念を生じさせて、婚外子に対する社会的差別すら肯定させる風潮を生み出す等、ひたすら婚外子差別を煽ってきたのである。

すなわち、続柄差別記載は、立法目的を達成するための手段として、著しく均衡を欠き、もっぱら他人に容易に婚外子差別を許し、婚外子当事者の精神生活を疎外し、精神的苦痛を与えるという不利益のみを婚外子に被らせてきたものでしかないのである。

戸籍上に身分関係を明示するという立法目的と、その手段としての婚外子続柄差別記載は、甚だしく均衡を欠くが故に、違憲無効であると、「コメント:婚外子戸籍記載変更請求事件」(国際人権十七号 2006年 現大阪大学法科大学院教授当時北海道大学教授 棟居快行)(甲第48号証)は、結論づけている。

このように違憲無効と断罪される婚外子続柄差別記載を、婚外子の関連する戸籍において今後も維持するという通達が発出されていることを、被控訴人国は国際社会に対して隠蔽しようとしている。

市民的及び政治的権利に関する国際規約(国際人権自由権規約)第40条1(b)に基づく第5回政府報告(2006年12月)によると、

第26条:法の下の平等
1.嫡出でない子の取扱い
(1)嫡出でない子の相続分
358.嫡出でない子の法定相続分を嫡出である子のそれの2分の1としている我が国の民法の規定(第900条第4号ただし書)については、法律上の婚姻により成立する夫婦とその間の子からなる家族を保護する目的で設けられた合理的なものである。ただし、相続をめぐる社会の状況の変化に応じて、制度を見直していく必要があることは、第4回報告のとおりである。
(2)戸籍上の表記
359. 戸籍上の表記の違いについては、民法上、嫡出子と摘出でない子の区別が存在することから、親族関係を登録・公証することを目的とする戸籍において、この区別をそのまま記載しているものであって、不合理な差別とは言えない。
しかし、戸籍の父母との続柄欄の記載方法については、2004(平成16)年3月2日に東京地方裁判所で言い渡された判決(同裁判所1999(平成11)年(ワ)第26105号事件)において、戸籍の父母との続柄欄における嫡出子と嫡出でない子を区別した記載について、プライバシー権との関係で問題を指摘する判断が示された。
この判決の指摘や父母との続柄欄の記載を改めたいとする国民からの要望なども踏まえて、2004(平成16)年11月1日法務省令第76号をもって戸籍法施行規則の一部が改正され、嫡出でない子の戸籍における父母との続柄の記載は、嫡出子と同様とすることとされ、従前の戸籍記載については、当事者の申出に基づいて更正できることとされた。

という記述がなされている。

まるで続柄差別記載がすべて更正可能であるという誤解を与えかねない記述である。従前の戸籍記載の一部についてのみ更正することができるにすぎないにも関わらず、あたかも従前の戸籍記載の全てを更正することが可能であるかのような誤読を誘う記述である。「従前の戸籍記載については、当事者が申し出をしても、現行の除籍されていない戸籍以外の更正を認めず、従前の戸籍記載の全てを更正させずに、従来通りに続柄差別記載を維持することとした。」とするのが、正確な記述である。

この第五回政府報告は、日本の戸籍制度に、規約人権委員会が不案内であろうことをあてにして、まるで差別続柄が全て更正されて問題を解決することができるかのような誤解を誘う記述をしている。規約人権委員会を欺罔し、愚弄するものと言わざるを得ない欺瞞的な政府報告である。

国際人権自由権規約
26条(法の前の平等・法律の平等な保護を受ける権利)
すべての者は、法律の前に平等であり、いかなる差別もなしに法律による平等の保護を受ける権利を有する。このため、法律は、あらゆる差別を禁止し及び人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治的意見その他の意見、国民的若しくは社会的出身、財産、出生又は他の地位等のいかなる理由による差別に対しても平等のかつ効果的な保護をすべての者に保障する。

によって、婚外子に対するあらゆる形態の差別は、条約違反の推定をうけているのである。それを熟知しているので、全ての続柄差別記載が更正可能であるという誤解を誘う記述をしているのである。

第5回報告では、「相続をめぐる社会の状況の変化に応じて、制度を見直していく必要があることは、第4回報告のとおりである。」と言う。

第4回政府報告(1997年)によると、
第26条
嫡出でない子の相続分
(a) 政府の取組
 嫡出でない子の法定相続分を嫡出である子のそれの2分の1としている我が国の民法の規定(第900条第4号ただし書)については、第3回報告の審査を踏まえて出された人権委員会の意見において、本条に適合しない旨のコメントが出されたところであるが、我が国としては、嫡出である子と嫡出でない子との法定相続分に差異を設けることが、直ちに嫡出でない子を不合理に差別するものとは考えていない。

 しかし、相続制度の在り方は優れて立法政策上の問題であることから、相続をめぐる社会の状況の変化があれば、これに応じて、この制度を見直していく必要があることはいうまでもない。こうした観点から、我が国政府は、現在、嫡出である子と嫡出でない子の法定相続分を同等化する法改正を検討しているところであり、法務大臣の諮問機関である法制審議会が1996年2月に答申した「民法の一部を改正する法律案要綱」において、そのような改正方向が示されている。

それでは、第4回政府報告(1997年)に明記された、法制審の答申はどうなったのか。婚外子差別については、第3回規約人権委員会日本国審査(1993年)において、厳しく規約違反を指弾されている。これは、準備書面(2)89~102頁に詳述したところである。
以下に、その規約人権委員の日本国に対する発言の一部を抜粋する。

「我々は婚外子は付加的な保護を必要とするということに皆同意することができると思います。平等の保護のみでなく、付加的な保護であり、また(婚外子であることによって)罰を受けることがあってはならないのです。非嫡出子に関しては、両親が罰を受けることがありえても、子どもが罰を受けることがあってはならないのです。」

「婚外子が嫡出子と同じ割合の相続分を受け取ることができないという出生による差別に関して、私は、前の発言者のコメントと同様の考えを持っております。民法は、その点に関して規約を遵守するものではありません。それは規約が禁止する差別にあたると思います。國方氏は、我々にその正当事由あるいは婚姻の保護について説明して下さいましたが、婚姻の保護と非嫡出子である子どもの保護、子どもの置かれた状況およびその将来とは、まったく関連すべきことであると思いません。子どもは当該の関係に何らの参加もしていないのであり、彼は、そのような規定の犠牲者です。したがって、それは、適正な正当事由ではないと思います。この件では、規約違反があると思います。」

「議長、婚外子に関して代表団が述べたことは、その点に関して差別を正当化するものではありません。嫡出子の相続分の半分しか婚外子が相続できないという事実は、明らかな差別であり、また出生登録(戸籍登録)における氏名に関しても差別があります。この分野に関して、日本は法律を改正し、婚外子に完全な平等を実現するという規約上の責任を有しています。」

「婚外子差別が存在するのみならず、正当化されているという話を聞いて、驚きを禁じえなかったわけです。相続事項に関して婚外子が差別される旨を規定する民法第900条は、規約違反です。明確に規約違反です。委員会も規約24条に関するジェネラル・コメントにおいて、相続を含むあらゆる領域における差別について言及しています。マブロマティス氏が既に述べたことを繰り返しませんが、子どもの差別に関するその他の規定もあるわけであり、出生の登録や通知など、差別の根拠とされる事項を含めて、それは出生後の社会における婚外子の差別となります。この問題は、私にとって非常に重要なものであり、代表団がただ今説明したような家族を保護するための法秩序をもってしても、子どもの権利を阻害するようなものとして確保されることがあってはならない、というのが私の意見です。その他の方法によって達成されなければなりません。私が申し上げたいのは、家族の保護をもってしても、婚外子という家族の1員が保護されない事態が生じてはならないのです。もし第1次的保護が家庭内の保護であるとしても、なぜ社会が、家族自身を保護しようとしない家庭を保護しなければならないのか理解できません。当該の状況に関してまったく責任を有しない子どもの利益を害するような仕方で、家庭を保護する理由はないのです。」

第5回政府報告は、婚外子に対する相続分差別について「法律上の婚姻により成立する夫婦とその間の子からなる家族を保護する目的で設けられた」と言う。しかし、婚外子について「両親が罰を受けることがありえても、子どもが罰を受けることがあってはならないのです。」という規約人権委員会の審議録に照らせば、「罰を受ける」べき婚姻外の関係を持った婚外子の親を含む家族を保護する目的を持つと解せられる。すなわち、「罰をうける」べき者を保護するという、正義に反する法制度を持つことを日本国として、ためらいもなく主張している。また、すでに法律婚主義をとりながら婚外子差別を撤廃した諸外国を、差別の撤廃は法律婚家族の保護に欠けると暗に批判するようなものである。

1996年の法制審答申による法改正は、未だ行われていない。その上で、第5回政府報告は、完全に排斥された主張を繰り返している。
第4回政府報告では「改正方向が示されている。」というが、法制審答申後11年を経ても法改正がなされず、立法不作為の状態である。では政府は、この11年間になにをしてきたのか。

日本女性差別撤廃条約NGOネットワーク(JNNC)のホームページに、政府がこの11年という長い年月になにをしていたのかについての記述がある。2003年の女性差別撤廃委員会日本国審査に向けての、政府との話し合いの中で明らかにされている。
http://www.jaiwr.org/jnnc/japanngoanswersjp.pdf
法制審議会の民法改正答申(1996年)では夫婦別姓や相続差別撤廃が打出されていたが、「夫婦別姓は家族を崩壊させる」という反対論が跋扈し、一部与党国会議員や男女平等社会の実現に反対する勢力の強い反対により未だに法案提出も行われていない。
01年5月実施の世論調査でも夫婦別姓に賛成する人が反対する人を上回ったが与党内の一致が見られていない。こうした事態を打開できる方策が見えないまま、別姓での結婚を望みながら待っている男女のカップルが増加している。
また婚姻最低年齢の平等化、再婚禁止期間の短縮などについても、民法改正は実現しないままである。
このかん法務省が与党へ提示した民法改正案は、夫婦別姓にしぼり相続差別規定の撤廃は含まれていない(但しこの民法改正案すら国会提出の目途は立っていない)。今年(2003年)3 月14 日にNGOが法務省との話合いをもち、その理由を尋ねたところ以下のような回答を行っている。
「与党内部においてこの相続差別の撤廃については反対意見が多いため、比較的とおりやすい別姓法案から提出を考えた」との理由であり、相続差別撤廃への反対意見としては、「婚姻届を出さないという選択を母自身が行ったのであるから、その結果も引き受けるべきである」「日本の家族制度は婚姻家族の保護を前提にしているから」などがあげられていた。またその場で、「相続差別撤廃がなぜ必要なのか、撤廃は緊急課題である」という内容の冊子を作成し、与党の議員への働きかけを強めるべきではないか、と要請した。しかし法務省としては、「いまのところ冊子を作ることは考えていない」とのことで、差別撤廃に向け積極的に現状を打開しようという考えは持っていない。
婚外子への相続差別規定について最高裁大法廷は1995年に合憲判決(人権諸条約に一切触れていない)をだしたが、この最高裁判例を踏襲し今年(2003年)3月28日に最高裁第二小法廷で、3 月31日には最高裁第一小法廷で連続して合憲判決が出された(二つの判決とも、5人中2人の裁判官が違憲とする反対意見を述べている)。ただこの31日の最高裁第一小法廷判決で特筆すべ
きは、合憲判決に賛成した裁判長が補足意見として「明らかに違憲であるとまでは言えないが、極めて違憲の疑いが濃い。法制審議会での相続規定の同等化の答申や国連規約人権委員会による相続規定の同等化の勧告などに鑑み、相続分を同等にする法改正を立法府により可及的速やかになされることを強く期待する」と述べたことである。
この判決を受けて4月1日に国会で政府へ質問が行われたが、「国民各層や関係各方面における議論の推移を踏まえ、大方の国民の理解を得ることができるような状態で法改正を行うことが適当」と政府は答え、直ちに法改正を行うことはなお考えていない。しかしこの相続差別の撤廃は急務である。子どもは親を選んで生まれてくることはできないにもかかわらず、そんな親の下に生まれて悲運だったのだと子どもに言っているに等しい現在の法律を放置することは許されないと考える。

法務省は、婚外子差別撤廃の民法改正案を提出できない理由を、「与党内部においてこの相続差別の撤廃については反対意見が多いため」としながら、「『相続差別撤廃がなぜ必要なのか、撤廃は緊急課題である』という内容の冊子を作成し、与党の議員への働きかけを強めるべきではないか、と要請した」に対して、「いまのところ冊子を作ることは考えていない」と回答した。すなわち、民法改正についてなんらの努力もしていないし、するつもりもないことが暴露されている。

「与党内部においてこの相続差別の撤廃については反対意見が多いため、比較的とおりやすい別姓法案から提出を考えた」のであれば、政府報告書における「相続をめぐる社会の状況の変化に応じて、制度を見直していく必要がある」という記述は欺瞞的である。政権の座にある者の意見に追随し、条約締結国の義務を果たすような努力を自ら放棄し、自己の責任を「社会の状況」にすり替えるなど許されない。「社会の状況」、すなわち国民に責任を転嫁しようとする政府の卑劣な態度は、断罪されなければならない。

政権与党におもねり、条約締結国の義務を果たそうとしない政府自身の態度の帰結として、政府はもはや自己弁護としてすら法制審答申を持ち出すことが出来ないのである。その結果として、必ずや規約人権委員会で厳しく批判されるであろう記述しか政府報告書に記載できなかったのである。これらは全て政府の、無能、無策、怠慢のしからしめるところである。

第4回政府報告(1997年)で述べた法改正への努力をせず、挙げ句の果てに、婚外子の関連する戸籍に続柄差別を維持するという通達を発出したのである。戸籍上に身分関係を明示するという立法目的と、その手段としての婚外子続柄差別記載は、甚だしく均衡を欠き違憲であるという状況は今後も継続されるのである。しかも、そのことを正確に規約人権委員会に報告しないという悪辣さである。

戸籍上に身分関係を明示するという立法目的とそれを実現する手段としての続柄差別記載が甚だしく均衡を欠くので、続柄差別記載は違憲であり、条約違反である。

被控訴人国らは、戸籍上に身分関係を明示するという立法目的と続柄差別記載を強行する事の間に実質的関連性があることを証明しなければならないのである。


求釈明

3.民法において、婚外子差別規定があるので、それを戸籍に表記するという
抽象的必要性以外に、続柄差別記載を具体的に必要とする事例があれば回答せよ。すなわち、実際に差別記載をすることが、どのような場合に必要であるのかを具体的に例を挙げて答えよ。具体的な必要性のある事例がないなら、そのように回答せよ。

4. 戸籍事務等において、婚外子続柄差別が撤廃されたことで、自治体窓口等で業務に支障を来したことを把握しているのであれば具体的に回答せよ。一切業務に支障を来さず、なんらの問題等の発生がなかったのであれば、そのように回答せよ。

裁判所におかれては、被控訴人国らが続柄差別記載の具体的必要性がないのに、今後も控訴人の関連する戸籍に続柄差別記載を維持する通達を発出したことが、違憲であり、日本国が締結した条約、国際人権自由権規約、国際人権社会権規約、子どもの権利条約、女性差別撤廃条約に悉く違反することを認識せられて、損害賠償等を認める判決を下されることを求めるものである。

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控訴審準備書面(1)
2007 / 03 / 24 ( Sat )
第三 自己情報コントロール権と期待権

いわゆる住基ネット大阪高裁判決(平成16年(ネ)第1089号 損害賠償請求控訴事件判決)は、プライバシー権を憲法13条により保障されている権利とした上で、「みだりに自己の情報を収集、利用、提供をされない権利」(自己情報コントロール権)をも含む権利であるとし、住基ネットが個人の私生活の平穏を脅かし、自己情報コントロール権を侵害するおそれがあるとして、違憲判決を下した。

この自己情報コントロール権は、憲法13条により保障されるプライバシー権を構成する重要な権利として、近年判例上も定着して来ている。

東京都教育委員会が都議に開示した文書でプライバシーを侵害されたとして、元教諭が、都を相手に損害賠償などを求めた訴訟の控訴審判決(平成19年2月15日平成18年(ネ)第3844号 損害賠償請求控訴事件 原審東京地裁平成15年(ワ)第26152号)においても、元教諭の主張が認められた。判決は、プライバシーについて、「プライバシーは狭い私生活情報」に とどまるものでなく、「伝統的,消極的意味におけるプライバシーの権利を保護するとともに、さらに、自己の個人情報の開示および訂正を請求する権利を保護することにより、積極的に自己の個人情報に関与するいわゆる現代的、積極的意味におけるプライバシーの権利の保護を目指したものである」とした。その上で、本人の生年月日等の私生活上の情報を法的保護の対象となるとし、「都議会という公益目的を考慮しても、プライバシー侵害に当たる」として、損害賠償請求を認めた。

では、婚外子続柄差別はどうか。本件一審判決も認めるように、婚外子であることは、プライバシーを「狭い私生活情報」と解しても、個人のプライバシーである。

「コメント:婚外子戸籍記載変更請求事件」(国際人権十七号 2006年 大阪大学法科大学院教授 棟居快行)(甲第48号証)によれば、従来、プライバシーについては、「私生活をみだりに公開されないという法的保護ないしは権利」とし、「いわゆる宴の後事件」(昭和39年9月28日下民集15卷9号)による判断が知られているとする。

1. 私生活上の事実、又はそれらしく受け取られるおそれのある事柄
2. 一般人の感受性を基準に当該私人の立場にたった場合に公開を欲しないであろうと認められる事柄
3. 一般の人にいまだに知られていない事柄

の三要件を掲げ、それは現在も広く支持されているとする。
この三要件に照らせば、婚外子続柄差別記載がプライバシー権の侵害となるのは明らかである。そもそも続柄差別記載は、当該私人が婚外子であるか否かを、戸籍を一見すれば明瞭に明らかにするために、法の明文による規定がないのに、法務省が規則のひな形で定めたものである。(法は父母との続柄を記載することを求めているが、婚外子について異なる続柄記載をすることを求めていない。)被控訴人国らによる、意図的なプライバシー権の侵害が、婚外子に対して、一貫して継続的に行われてきたと評価すべきである。

自己情報コントロール権については、どうだろうか。人格的自立にとって本質的に重要な意味を持つ情報については、個人が自己の情報の開示請求や削除請求などのコントロール権を持つことを自己情報コントロール権という。

申し出による婚外子差別続柄の更正は、自己情報コントロール権の行使として、捉えることができる。当該私人の自己情報コントロール権は、当該私人の関連する全ての戸籍に及ぶのは、当然である。

現行の除籍されていない戸籍以外の続柄の更正を拒否するのは、古典的プライバシー権の侵害であるばかりではなく、「自己の個人情報の開示および訂正を請求する権利を保護することにより、積極的に自己の個人情報に関与するいわゆる現代的、積極的意味におけるプライバシーの権利」としての、自己情報コントロール権の侵害である。

法務省ホームページ上の平成16年3月9日(火)野沢法務大臣(当時)閣議後記者会見の概要で明らかなように「人権の基本に立って」議論をすすめた結果、婚外子に対する「差別があってはならない」 ので、「男・女」という雛形が削除されたのである。

平成16年3月9日(火)野沢法務大臣閣議後記者会見の概要は以下のとおりである。
Q:変えることを決めたということでよろしいでしょうか。
A:昨日の決算委員会での答弁どおり,その方向で検討するということです。

Q:具体的には,国会のどこの場で議論することになりますか。
A:規則ですので,法務省だけでできます。

Q:そういう方向性を決めるに至った理由について,大臣はどのように考えていらっしゃいますか。
A:これは,国民の皆様からの御要請が第一にありますし,人権といいますか,生まれた子供たちにはいずれも差別があってはならないわけですから,その基本に立って議論を進めたということです。それから,国際的にも差別をしていないところが段々多くなっているということもございます。
このように担当大臣が、「人権の基本に立って」、「生まれた子供たちにはいずれも差別があってはならない」として続柄差別記載の撤廃を行うとしたので、控訴人はプライバシー権等が回復されると期待したのである。そして、期待権、信頼利益は法的保護の対象である。

NHKの番組が放送直前に改変されたとして、取材を受けた市民団体バウネットがNHKなどに損害賠償を求めたいわゆるNHK番組改変事件の控訴審判決平成16年(ネ)第2039号 損害賠償請求控訴事件 原審 東京地方裁判所 平成13年(ワ)第15454号)は、期待権すなわち信頼利益が侵害されたとして、損害賠償を認めた。

判決では、「ニュース番組とは異なり、本件のようなドキュメンタリー番組又は教養番組においては、取材対象となった事実がどの範囲でどのように取り上げられるか、取材対象者の意見や活動がどのように反映されるかは取材される者の重大関心事であることから……中略……取材者の言動等により取材対象者がそのような期待を抱く……中略……取材対象者の番組内容に対する期待と信頼が法的に保護されるべきものと評価すべきである。」とした。

すなわち、市民団体バウネットが、重大な関心を抱くドキュメンタリー番組の内容が、「取材者の言動等により取材対象者がそのような期待を抱く」ような内容の番組として放映されなかったことを、「取材対象者の番組内容に対する期待と信頼が法的に保護されるべきものと評価すべきである。」として損害賠償請求を認めたのである。

これを本件について見てみるとどうなるのか。
当然にも、続柄差別記載の撤廃は、控訴人にとって重大な関心事である。担当大臣の「人権の基本に立って」、「生まれた子供たちにはいずれも差別があってはならない」という記者会見における言動は、「取材者の言動等」に相当する。担当大臣の言葉通りに、「人権の基本に立って」、「生まれた子供たちにはいずれも差別があってはならない」という言葉に相応しい方法で続柄差別撤廃が行われてプライバシー権等が回復することを控訴人が期待するのは極めて自然である。自己の関連する戸籍に続柄差別が今後も維持されるという内容の通達が発出されることなど、全く予想外であった。

申し出をしても、続柄が更正されず、差別を維持するとし、今後も婚外子の人権を侵害し続ける通達を発出することは、期待権すなわち信頼利益の侵害である。
ようやく政府が立憲主義の本旨に立って、憲法に定められた差別の禁止に従う行政を行うであろうという、すなわち日本国が民主主義国家であるという信頼が失われたのである。

それを失わせた理由が、公務員の事務負担を軽減するためというのであれば、およそ日本国の行政は基本的人権の尊重を理念としているとは言えない。失われた期待権すなわち信頼利益は、日本国では近代民主主義国家としての行政が行われていないという事実である。

続柄差別を維持するという通達を発出することは、婚外子の「人権の基本に立って」行政裁量を行わないとし、今後も行政による婚外子に対する人権侵害を継続するという宣言にほかならない。このような通達を発出することは、期待権すなわち信頼利益の侵害である。

担当大臣が言明した「人権の基本に立って」、「生まれた子供たちにはいずれも差別があってはならない」という言葉に反し、ひいては憲法に謳われた基本的人権の尊重という理念に反する通達を発出することは、期待権すなわち信頼利益の侵害に他ならない。

このような通達の発出は、行政があくまでも婚外子差別を当然視するからできるのである。控訴人は、この通達によって甚大な精神的苦痛を被ったのである。

婚外子の関連する戸籍に続柄差別を維持することは、古典的プライバシー権の侵害であるばかりでなく、自己情報コントロール権の侵害である。また、期待権すなわち信頼利益の侵害に他ならない。

裁判所は、プライバシー権の侵害と期待権すなわち信頼利益の侵害を認めて、謝罪と損害賠償請求を認める判決を下されるよう求めるものである。
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控訴審準備書面(1)
2007 / 03 / 24 ( Sat )
第四 戸籍事務について

控訴人は平成19年1月12日に、被控訴人国らに以下の当事者照会を行った。

被控訴人国らは、平成16年11月1日から平成17年3月31日に約4000件の婚外子の続柄が更正されたとしている。その後、平成17年3月31日から平成18年3月31日までに婚外子の続柄が更正された件数を回答されたい。また、平成18年3月31日から平成18年9月31日までに婚外子の続柄が更正された件数を回答されたい。それ以後についても、月毎の件数など知るところがあれば回答されたい。

これに対して、被控訴人国らから、1月24日に、「平成17年4月1日から平成18年3月31日までの全国における続柄記載更正申出件数は、約5.200件である。」とする回答があった。ところが控訴人は、平成18年11月14日にいわゆる戸籍続柄裁判の原告らが法務省と交渉を行った際に、法務省から同時期の申出件数を4556件と回答されたということを知った。

そこで、2月5日に、改めて以下の当事者照会を行った。

平成19年1月24日の回答によると、「平成17年4月1日から平成18年3月31日までの全国における続柄記載更正申出件数は、約5.200件である。」としている。ところが、平成18年11月14日にいわゆる戸籍続柄裁判の原告らと交渉を行った際の記録によれば、同時期の申出件数を4556件としている。
どちらが、正しい数か答えられたい。

被控訴人国らから、2月16日に以下の回答があった。

平成17年4月1日から平成18年3月31日までの全国における続柄記載更正申出件数は5258件、本籍地市町村への送付分を除いた件数は4566件である。詳細は、株式会社テイハン発行の戸籍第794号に掲載されている。

なぜ、最初からこのように答えないのか、実に不思議である。封建領主の「知らしむべからず、寄らしむべし」に相当する、独善的態度というほかない。

そして、被控訴人各自治体毎の申し出件数についての当事者照会には、2月5日、16日の二度にわたり回答を拒否している。各自治体毎の集計が全国の件数になるのであろうから、簡単にわかるはずであり、秘匿する理由もないはずである。

なお、平成16年11月1日から平成17年3月31日の続柄記載更正申出件数は約4000件ではなく、戸籍第780号の記載によると4000件丁度であり、本籍地市町村への送付分を除いた件数は3750件である。

当事者照会新設時に改正された民事訴訟法(裁判所及び当事者の責務)第2条 「裁判所は、民事訴訟が公正かつ迅速に行われるように努め、当事者は、信義に従い誠実に民事訴訟を追行しなければならない。」に照らしても疑問とするところである。

このような被控訴人国らの、独善的態度は戸籍事務においても見られる。あくまでも続柄において、婚外子差別を維持しようとする行政の姿勢として、準正子の続柄記載においても現れている。婚外子の続柄を「男・女」式から「長男・長女」式に更正した後に、父母の婚姻等によって子が準正された時の戸籍において続柄はどのように記載されるのか。

未婚で出産した母の男児として最初の子の続柄を「男」から「長男」に更正したのちに、その子が準正されても、夫婦の最初の男子であるので、続柄は同じく「長男」である。

「戸籍時報表No.599 平成18年6月」(甲第49号証)によると、同じく「長男」であるにも関わらず、戸籍事務においては「長男」に訂正線を引いて、新たにもう一度「長男」と書き直すとしている。しかも、戸籍の再製を許さず訂正線を引いた「長男」はそのまま残すという。婚外子としての父母との続柄である「長男」を、嫡出子としての父母との続柄である「長男」に記載を改めるからであるとしている。しかしながら、戸籍法に定められているのは、全ての子についての父母との続柄を記載することであって、嫡出か否かで続柄の概念が異なるということなどは定めてはいない。すなわち、行政裁量による戸籍記載の方法を各自治体で行わせることで、新しい法概念を創設するという、立法権の侵害を行っているのである。

また、「長男」に訂正線を引いて、新たにもう一度「長男」と書き直すことは、全く無意味である。戸籍事務負担を増大させるだけの煩雑な事務を行うことは、「自分はこんなにも煩雑な事務に精通している。」という自己満足を行政職員に抱かせる以外には、何の役にも立たない。自己の戸籍の続柄欄に、訂正線を引かれて新たに書き直されて、しかも戸籍が再製されないことを喜ぶ国民などいるはずもないことを、公務員は忖度することすらできなくなっている。憲法第15条2に謳われている、「すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。」ことは、全く省みられていない。

戸籍の再製が認められた経緯は、「読売新聞 - 2004年9月21日 」 (甲第50号証)に報道されている。

非嫡出子「続き柄」、戸籍に訂正跡残さず 法務省方針プライバシー配慮

 法務省は20日、法律上の結婚をしていない両親の子供(非嫡出子)について、両親らが続き柄の書き換えを申し出た場合、訂正跡を残さない形で修正する方針を固めた。政府部内で「一目で出生状況がわかる訂正では意味がない」との意見が出ているためだ。

 現行の戸籍では、非嫡出子は「男」「女」と表記されている。同省は10月にも、非嫡出子の戸籍の続き柄欄に嫡出子と同様、「長男」「長女」などと記載するよう戸籍法施行規則を改正することにしている。これに合わせて、全国の法務局などに書き換えの方法を示す通達を送る。

 非嫡出子の戸籍上の表記をめぐっては、東京地裁が今年3月、現行の記載方法はプライバシーの侵害にあたると認定したため、野沢法相は施行規則を改正する方針を表明した。人口動態調査によると、2003年に生まれた非嫡出子の割合は1・9%で増加傾向にある。施行規則改正の背景には、非嫡出子の法的な扱いを嫡出子と同等にすべきだとの考え方の広がりがある。

 施行規則が改正されれば、すでに「男」「女」と記載されている非嫡出子でも、記載を訂正することができる。しかし、両親が「長男」などへの訂正を求めた場合、「男」の部分に朱線が引かれ、訂正理由も書き込まれるなどの問題点が指摘されていた。

 法務省は戸籍法で定めている「戸籍簿の再製」の規定を準用し、申し出があれば、痕跡が残らない形で書き換えに応じることにした。

 「戸籍簿の再製」の要件について、戸籍法は〈1〉虚偽の届け出〈2〉錯誤による届け出〈3〉市町村長の過誤――による記載の訂正について再製の申し出があった場合に限定している。今回、法務省は法改正はせず、「プライバシーへの配慮」に関する通達を出すことにした。

 非嫡出子の続き柄表記を巡っては、1991年2月に社会保険庁が保険証の表記を「子」に統一、95年3月には住民票の表記も「子」に統一された。
「読売新聞 - 2004年9月21日 」

それでは、準正された婚外子の戸籍に、「長男」に訂正線を引いて、新たにもう一度「長男」と書き記し再製を許さないことは、もともとは婚外子である準正子に対して「プライバシーへの配慮」に欠ける戸籍事務を行うことである。ここにも、婚外子がどのような不利益を被っても当然であるとする、行政の婚外子に対する差別意識の強烈さを見ることができるのである。

「長男」に訂正線を引いて、新たにもう一度「長男」と書き記すなどは、徒に戸籍事務を繁雑にし、事務量を膨大にするだけである。パブリックコメントで圧倒的多数をしめた意見を採用し、続柄記載を「男・女」に統一していれば、このような異様異常な戸籍事務を行わなくてもよかったのである。

行政による立法は、準備書面(4)9~10頁においてもみることができる。

明治政府は1873(明治6)年1月18日に太政官布告第二十一号「妻妾に非ざる婦女にして分娩する児子は一切私生を以て論じ其婦女の引き受けべき事、但男子より己れの子と見留め候上は婦女住所の戸長に請て免許を得候者は其子其男子を父とするを可得事」(甲第42号証)を公布し、私生子の出生は母の戸籍に入籍する形式で行うこととなった。次いで、明治政府は私生子の出生を母の戸籍に記載する目的を、1876(明治9)年12月26日大久保利通伺(甲第43号証104~105頁)と、1877(明治10)年2月2日太政官指令(甲第44号証)によって明らかにした。

ある戸籍の記載の仕方についての「伺い」に対して「指令」が下されて、その「指令」に従って全国で統一的な戸籍記載を行っていたのである。戸籍事務の手続きを統一することによって、事実上の立法作用が醸成されていたのである。こうして、本来民法上の身分であるはずの私生子という概念を、行政が立法することなしに創り出したのである。こうして行政の、立法と司法に対する優越性が明治初期に成立し、今に続いているのである。

戸籍第777号(平成17年10月)(甲第51号証)における、法務省民事局民事第一課清水真琴による記述によれば、平成11年(ワ)第26105号 東京地方裁判所平成16年3月2日判決で、婚外子であることが「一見して明瞭に判別される現行の父母との続柄の記載は、戸籍制度の目的との関連で必要性の程度を越えており、プライバシー権を害しているものといわざるを得ない。」との指摘されたことで、続柄差別を改めたとする。その上で、対象を現行の除籍されていない現行の戸籍に限った理由を、「市町村区の事務負担が考慮されたから」であるとする。

第3008号通達が、憲法第13条に由来するプライバシー権より、公務員の事務負担への配慮を上位価値としたものであることがあからさまに記述されている。
憲法第99条 天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。
は、全く省みられることはなかった。

公務員の事務負担への配慮を優先したがために、準備書面(2)17~18頁で詳述したように、婚外子の現行の戸籍謄本に差別続柄が維持されるという事態すら招いたのである。

では、憲法にすら優越して懸念された「事務負担」は、実際のところ、どれほどのものであったのか。平成16年11月1日から平成17年3月31日の五ヶ月間の、続柄記載更正申出件数が4000件であり、平成17年4月1日から平成18年3月31日までの一年間の続柄記載更正申出件数は5258件である。2年目の申し出は初年度に比して約55%にしかすぎない。平成16年11月1日以降は差別記載が新たにされることはないので、年々「事務負担」が顕著に軽減されるであろうことは、容易に予測できる。

そもそも、公務員の「事務負担」の軽減を国民の人権に優先させて、法的根拠の失われた差別続柄を維持する通達を発出することは違法であり、国家賠償責任法による損害賠償の対象である。

求釈明
5.2004(平成16)年11月1日以降民法の規定に関わりなく続柄差別記載の根拠とされた雛形は消除されている。それでは、婚外子の関連する戸籍に続柄差別記載を維持する法的根拠を具体的に条文等を挙げて答えよ。
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控訴審準備書面(1)
2007 / 03 / 24 ( Sat )
第五 まとめ

戸籍を原則非公開とするという戸籍法の見直しについての審議が法制審議会戸籍法部会で行われ、2005(平成17)年11月1日の第一回から2006(平成18)年12月9日の第十四回開催され、その議事録が法務省のホームページ上で公開されている。

2005(平成17)年11月1日の第一回審議会における法務省大臣官房審議官の○○(原文のママ)のあいさつによれば、審議会の趣旨は以下の通りである。

戸籍の公開制度の在り方などに関する戸籍法の見直しについて,御審議いただくものでございます。本年4月から御案内のとおり,いわゆる個人情報保護関連5法が施行されたことなどを契機としまして,国民一般の間に自己の情報を他人に知られたくないという意識が非常に強くなってきておりますし,それに伴って個人情報を保護するという要請も強くなっております。このような状況にかんがみまして,個人に関する情報を保護する観点から,個人情報のいわば塊である戸籍の公開制度を現行よりも制限することについて御審議をいただくということにしたいと存じます。

本年4月から個人情報の保護に関する法律等が施行されるなど,個人に関する情報の保護に対する国民の関心の深まりにかんがみ,戸籍についても,個人に関する情報を保護する観点から,公開を原則としている現行の制度の在り方を見直す必要があると考えられます。

法務省は、戸籍の公開制度の見直しの必要性について、2005(平成17)年11月29日の第二回審議会において、さらに説明している。

戸籍の公開制度の見直しの必要性を示したもので,昭和51年に戸籍の公開制度が改正されてから30年近く経過し,その間に自分の情報を他人に知られたくないという意識が高まって,それに応じて個人の情報を保護するという要請が強くなるとともに,いわゆる個人情報保護法が施行されるなど,個人の情報の保護に対する法整備も進められてきた状況にありまして,そこで戸籍についても現在の国民の意識を的確に反映した制度となるよう公開をより制限し,あわせて不正事件を防止する方策を講じる必要性がある,ということでございます。

また、2006(平成18)年12月9日の第十四回審議会においても、法務省民事局長が以下の認識を示している。

 担当部局の責任者といたしまして一言だけ御礼を申し上げたいと思います。
 この戸籍法の見直しというのは,かねてから個人情報保護の高まりが明らかになってくるという,そういう現象を受けて,私どもも意識としては,非常に大きい検討課題だと思っておりました

法務省は国民の個人情報保護を求める、すなわち行政によるプライバシーの侵害に敏感な世論に対応をせまられて、「公開を原則としている現行の制度の在り方を見直す必要」に迫られて、戸籍についての認識を改めざるを得なくなったのである。また、戸籍の不正取得に対する対応にも迫られている。

第1回議事録によると、現行法上も許されない戸籍の不正取得については、以下の認識が示されている。

また,請求の事由を明らかにする必要がないとされている者が,職務上の請求ではないにもかかわらず,不正に戸籍の謄抄本等の交付請求を行うという事件も後を絶たない状況にあります。

弁護士等の資格者によります戸籍謄本等に係る不正事件あるいは不正の疑いのある事件を一覧表にしたものでございまして,過去3年で発覚した分をまとめたものでございます。弁護士による不正請求が2件でございまして,司法書士による不正事件も2件で,行政書士による不正事件が6件となっております。

次に,どれくらいの件数の不正な取得がここで行われているのかにつきましては,ここではまだ調査中のものもございますので件数等は書いてございませんが,少ないものは1通とか数通とかいうものでございますし,多いものにつきましては,新聞等の報道によりますと,1人の資格者の方々が800枚とか,1,000枚とかという単位で,職務上請求用紙を使って戸籍謄本等あるいは住民票の写し等の請求をしているということはございます。

そういう観点も含めまして,先ほども説明のところで申し上げましたが,第三者が理由を示さずに戸籍関係の情報をとれるという現在の制度自体を,個人情報保護の観点から見直す必要があるのではないかと思っているところでございます。
不正取得とされる基準について法務省は以下のように述べている。

昭和51年の戸籍法改正に伴います事務の取扱いに関する通達のうち,戸籍の公開に関する部分の資料でございます。昭和51年の改正で,戸籍の謄抄本等の交付請求につきましては,不当な目的によることが明らかなときは,請求を拒むことができるとされておりますが,その不当な目的とはどのような場合かについて,この通達の1枚目の下の段の項目3というところに示されております。不当な目的というのは,「例えば,嫡子でない子であることや離婚歴等他人に知られたくないと思われる事項をみだりに探索し又はこれを公表する等プライバシーの侵害につながるもの,あるいは戸籍の記載事項を手がかりとして同和地区出身者であるか否かを調査する等差別行為につながるものなど,戸籍の公開制度の趣旨を逸脱して謄本等を不当に利用する目的をいうものである」という通達が出されております。

不正取得については、審議員から、
今の関連で,不正があるというのは本当に氷山の一角だろうと思います。それよりは,戸籍制度を運用することによって,これが人権侵害のきっかけになってしまっているとか,例えば,本籍がどこだというのが誰でも見れるようになっていたりとか,そこのところがこういう時代なので,人権侵害を防ぐという視点もかなり大きいんではないかと私は理解しているんですが,そのあたりはいかがでしょうか。
という発言がなされている。

第一回議事録では、「本籍地について東京都千代田区霞ヶ関一丁目一番というようなところ東京都千代田区までしか表示されていない戸籍の記録事項証明書を発行することが考えられる」としている。これは、「同和地区出身者であるか否かを調査する等差別行為」に対処するものである。

2006(平成18)年9月11日に開催された第11回議事録「戸籍法の見直しに関する要綱中間試案に対する意見募集(パブリックコメント)の結果」においてでは、人権の観点から戸籍制度そのものの在り方への提言もなされていることが知れる。

総論といたしまして,戸籍制度の在り方そのものについて幾つか意見がございました。現行の家族単位中心の戸籍制度の在り方について,本当にそれでいいのかというようなこと,また,廃止に向けて検討すべきだけれども,現実としては社会で機能しているということで,個人単位に切り替えていくべきではないかというような意見でございます。

人権と密接なかかわりがあるので,見直しに当たっては,人権の確保の観点から,制度そのものの在り方,記載内容,交付方法と対象,使用目的と証明内容,使用後の処理など,全般的な見直しをすべきであるというような意見が出されているということでございます。

個人情報保護の観点に立てば、「個人情報のいわば塊である戸籍」を原則非公開とするだけでは足りず、たとえ不正取得されたとしても、個人情報がみだりに漏洩されない戸籍記載を行わねばはらないのは当然のことである。

法務省みずからが、「個人に関する情報を保護する観点から,公開を原則としている現行の制度の在り方を見直す必要がある」としながら、続柄差別記載を控訴人の関連する戸籍に今後も維持するという通達を正当化することは、自己矛盾でしかない。1976(昭和51)年から、みだりに探索すればプライバシーの侵害につながるとしながら、一見して明瞭に婚外子であることを続柄において差別記載し、今後も維持しようとすることも自己矛盾である。

法務省が、「個人に関する情報を保護する観点」に立つのであれば、続柄差別記載を一掃する責任もまた負わねばならないのである。

そもそも、法制度上の全ての婚外差別については、違憲の推定が働くのである。また、嫡出非嫡出という社会的身分で個人を区別することの違憲性を度外視するとしても、立法目的と続柄差別記載には実質的関連性がなく、立法目的とそれを実現する手段が甚だしく均衡を欠くので、違憲である。よって、裁判所は被抗告人国らに、求釈明に答えさせられたい。

求釈明

1.従前の戸籍の差別続柄の更正を拒否することによって達成しようとする重要法益を明らかにせよ。

2.その重要法益を達成する上で、従前の戸籍の差別続柄を維持することが必要不可欠であることを立証せよ。

3.民法において、婚外子差別規定があるので、それを戸籍に表記するという
抽象的必要性以外に、続柄差別記載を具体的に必要とする事例があれば回答せよ。すなわち、実際に差別記載をすることが、どうような場合に必要であるのかを具体的に例を挙げて答えよ。具体的な必要性のある事例がないなら、そのように回答せよ。

4. 戸籍事務等において、婚外子続柄差別が撤廃されたことで、自治体窓口等で業務に支障を来したことを把握しているのであれば具体的に回答せよ。一切業務に支障を来さず、なんらの問題等の発生がなかったのであれば、そのように回答せよ。

5.2004(平成16)年11月1日以降民法の規定に関わりなく続柄差別記載の根拠とされた雛形は消除されている。それでは、婚外子の関連する戸籍に続柄差別記載を維持する法的根拠を具体的に条文等を挙げて答えよ。

裁判所は、続柄差別記載が違憲無効であることを認めて、控訴人に謝罪と損害賠償を認める判決を下されたい。日本国が締結した条約、国際人権自由権規約、国際人権社会権規約、子どもの権利条約、女性差別撤廃条約を直接援用して、控訴人に謝罪と損害賠償を認める判決を下されたい。

婚外子差別を維持することは、日本国が締結した条約を遵守しないということで国際社会に悪影響を与えるばかりではない。不動産の相続について、その所在地の法によるとする規定を持っている場合(カリフォルニア州法等)には、すでに婚外子差別が撤廃されている諸外国に差別を輸出する事態を招きかねないのである。これでは、日本国は世界に差別をばらまく人権後進国というそしりを免れない。

このように、控訴人の関連する戸籍に続柄差別を維持するという通達を発出することは、古典的プライバシー権の侵害であるばかりでなく、自己情報コントロール権の侵害であり、また、期待権すなわち信頼利益の侵害であるので、控訴人に謝罪と損害賠償を認める判決を下されたい。




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第一回当事者照会 1月12日
2007 / 03 / 23 ( Fri )
照会事項

1.法務省は婚外子の続柄が更正されることを、平成16年11月1日以降に広報したか否か。したのであれば、どのような広報をしたのか、チラシの配布、ポスターの掲示等具体的に回答されたい。また、そのために費やされた費用等があれば具体的金額を回答されたい。

2.被告国らは、平成16年11月1日から平成17年3月31日に約4000件の婚外子の続柄が更正されたとしている。その後、平成17年3月31日から平成18年3月31日までに婚外子の続柄が更正された件数を回答されたい。また、平成18年3月31日から平成18年9月31日までに婚外子の続柄が更正された件数を回答されたい。それ以後についても、月毎の件数など知るところがあれば回答されたい。


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第二回当事者照会 2月5日
2007 / 03 / 23 ( Fri )
照会事項

1.平成 19年1月 12日に、「法務省は婚外子の続柄が更正されることを、平成16年11月1日以降に広報したか否か。したのであれば、どのような広報をしたのか、チラシの配布、ポスターの掲示等具体的に回答されたい。また、そのために費やされた費用等があれば具体的金額を回答されたい。」という当事者照会をしたところ、「控訴人の請求との関連性が明らかでなく、回答の必要を認めない。」と1月24日に回答があった。
被控訴人等は、婚外子の続柄更正を求める申し出によって戸籍事務負担が増大し日常業務に支障を来す可能性があるとし、現行の除籍されていない戸籍以外の続柄の更正を拒否する根拠にしている。
広報を行えば、申し出も増えることは容易に予測されるので、実施された広報と申し出件数を検証することで実際に今後戸籍事務負担がどの程度増大し得るのかが知れる。すでに控訴人は、一審準備書面でこの趣旨の主張をしている。被控訴人等の主張と密接な関連性があるので、重ねて回答を求める。
広報をしたことがなく、今後もする予定がないのでなれば、そのように回答されたい。

2.平成19年1月24日の回答によると、「平成17年4月1日から平成18年3月31日までの全国における続柄記載更正申出件数は、約5.200件である。」としている。ところが、平成18年11月14日にいわゆる戸籍続柄裁判の原告らと交渉を行った際の記録によれば、同時期の申出件数を4556件としている。
どちらが、正しい数か答えられたい。


3.被控訴人らは、平成19年1月29日付けの答弁書において、婚外子を続柄欄において差別記載することは不必要とは到底言えないとしている。
それでは、実際に差別記載をすることが、どうような場合に必要であるのかを具体的に例を挙げて答えられたい。
また、戸籍事務において、法務局等からの問い合わせなどから、婚外子続柄差別が撤廃されたことで、業務に支障を来したことを把握しているのであれば具体的に答えられたい。一切問題がなかったのであれば、そのように回答されたい。


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第三回当事者照会 2007年2月17日
2007 / 03 / 23 ( Fri )
照会事項


1.民法において、婚外子差別規定があるので、それを戸籍に表記するという
抽象的必要以外に、続柄差別記載を具体的に必要とする事例があれば答えられたい。すなわち、実際に差別記載をすることが、どうような場合に必要であるのかを具体的に例を挙げて答えられたい。具体的な必要性がないなら、そのように回答されたい。

2. また、戸籍事務等において、婚外子続柄差別が撤廃されたことで、業務に支障を来したことを把握しているのであれば具体的に答えられたい。一切業務に支障を来さず、なんらの問題等の発生がなかったのであれば、そのように回答されたい。






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