国連への情報提供
2008 / 06 / 01 ( Sun ) 国連人権理事会・普遍的定期審査(UPR)への情報提供
2006年、日本は人権理事会選挙における自発的誓約として、「日本の世界の人権保護促進への貢献」を発表し、その2の(1)で、条約の誠実な履行を公約した。 2.日本の国際的な貢献 (1) 主要人権条約を締結し誠実に履行(社会権規約、自由権規約、人種差別撤廃条約、女子差別撤廃条約、児童の権利条約、拷問禁止条約、ジュネーヴ諸条約、難民条約等) しかし、日本国内での実際の日本政府の振る舞を見ると、締結した条約を誠実に履行しようとする意志が無いようである。 日本政府は、子どもの権利条約を締結しても、婚外子相続分差別を定めた民法を改正する必要がない理由を、次のように国会で答弁している。 ○岡光 民雄 法務省民事局参事官 相続の問題というのは親と子の問題でありまして、子供が児童であるかどうかにかかわらないわけでございまして、六十の方がお亡くなりになって三十の方が相続される場合でもそういうことが起きるわけですから、児童の固有の問題ではないとは思っております(第126 回- 衆議院- 外務委員会 1993年05月11日) これは、日本政府による、子どもの権利条約そのものへの侮辱行為である。 また、日本政府は女性差別撤廃委員会が下した、 国連女子差別撤廃委員会第29回会期 日本国報告・審査(2003年) 371.委員会は、また、戸籍、相続権に関する法や行政措置における婚外子に対する差別及びその結果としての女性への重大な影響に懸念を有する。 という勧告について以下のような驚くべき見解を示した。 「民法第九百条第四号ただし書は、嫡出でない子の相続分を嫡出子の相続分の二分の一とする旨を規定しているが、この規定は、男女において相続分に差異を設けるものではないことから、男女の平等の理念に反するものではなく、女子にたいするあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約に違反するものではないと考える」(2005年3月4日の藤田一枝衆議院議員(当時)の質問趣意書に対する答弁書) 南野法務大臣(当時)は、衆議院法務委員会で、この政府見解について糺す小林千代美衆議院議員(当時)に以下の答弁をしている。 「(婚外子相続分差別を撤廃しないことは)条約委員会の最終見解に反しているとも言えません。それは、条約委員会の最終見解がもっともなものであれば、法的拘束力を有するものではないとしても、これに従うことも検討しなければならないと思いますけれども、嫡出でない子の相続分に対する最終見解ということが条約に対する理解を誤っていると考えておりますので、その最終見解を受けて民法改正をする必要もないというふうに思っております。」(2005年3月30日) 「(女性差別撤廃)条約委員会が条約の理解を誤っている。」とすることは、日本政府が勧告を歪曲して、女性差別撤廃委員会を貶めることである。 国際人権自由権規約日本国審査(1998年10月28〜29日)における福本検事(法務省民事局付)の発言は、自由権規約委員会の最終見解で肯定的要素として評価されている。 「法務大臣の諮問機関であります法制審議会におきまして、これ(婚外子)の相続分を同等化する旨の民法改正の要綱が答申されているのは国内外の議論を踏まえた政府としての動きでございます。実際には世論が分かれているために法案提出には至っておりませんが、家族関係の問題につきましては国民の合意なしに法改正をすることは困難であろうと考えております。 したがいまして、政府としましては、パンフレットを作成して配布するなどの広報活動を行うとともに、世論調査を行い、その結果を公表して民法改正に関する国民各層における議論の題材を提供しているところでございます。」 自由権規約委員会の最終見解 1998年11月19日 B.肯定的要素 委員会は、法務省の人権擁護機関によってとられた、韓国・朝鮮人学校の生徒、婚外子、アイヌ・マイノリティの児童に対する差別及び偏見の撤廃に取り組むための措置を歓迎する。 しかし、婚外子差別の撤廃に資するパンフレットが、日本政府によって作成され配布されたということを知るNGO関係者は一人もいない。国際人権自由権規約日本国審査(1998年10月28〜29日)における日本政府の発言は、虚偽の疑いがある。 それどころか、女性差別撤廃委員会 第29 会期 事前作業部会 「定期レポートの審議に関する課題および質問事項一覧:日本」によると、そのようなパンフレットを作成する意志がないと明言している。 29. 2003年3 月14 日にNGOが法務省との話合いをもち、…中略(全文は文末にあります。)…「相続差別撤廃がなぜ必要なのか、撤廃は緊急課題である」という内容の冊子を作成し、与党の議員への働きかけを強めるべきではないか、と要請した。しかし法務省としては、「いまのところ冊子を作ることは考えていない」とのことで、差別撤廃に向け積極的に現状を打開しようという考えは持っていない。 このように日本政府は国内法を条約に適合させるのではなく、条約を歪曲することで法改正を免れようとしている。日本政府は、社会権規約、自由権規約、女性差別撤廃条約、子どもの権利条約の四条約機関から六度にわたって婚外子差別が規約違反であると指摘されている。しかし、日本政府は婚外子差別を定めた法制度を条約に適合させようとする努力を放棄している。 また、日本国の人権を司る法務省は、「人権教育のための国連の10年」の取り組みで婚外子差別に一切言及しなかった。1949年以来、毎年12月に世界人権宣言の制定を記念して行われる人権週間でも、法務省は婚外子差別を人権課題として取り上げたことはない。日本政府は、一貫して婚外子に加えられる就職差別、結婚差別すら人権啓発の対象としてこなかった。そればかりか、NGOへの回答にあるように、今後も取り組む意志がないことが明らかである。 また、日本国の人権を司る法務省は、「人権教育のための国連の10年」の取り組みで婚外子差別に一切言及しなかった。1949年以来、毎年12月に世界人権宣言の制定を記念して行われる人権週間でも、法務省は婚外子差別を人権課題として取り上げたことはない。日本政府は、一貫して婚外子に加えられる就職差別、結婚差別すら人権啓発の対象としてこなかった。そればかりか、NGOへの回答にあるように、今後も取り組む意志がないことが明らかである。 締結した条約を誠実に履行しないばかりか、規約委員会を愚弄する日本国には人権理事国の資格がないと言わざるを得ない。 「婚外子」差別に謝罪と賠償を求める裁判を支援する会 Association for the Support of Children out of Wedlock |
公開質問状
2007 / 09 / 18 ( Tue ) 2007年8月31日に外務省本省内で行われた
「『あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約』 政府報告に関する市民・NGOとの意見交換会(第2回目)」が、 いわゆる「保守派」の差別的不規則発言により、 予定よりはやく1時間30分で打ち切りになりました。 8月7日に外務省本省内で行われたで行われた 「『経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約(社会権規約)』 第3回政府報告作成に関する市民・NGOとの意見交換会に 出席した「家族の絆を守る会」等が 自分たちと意見を同じくする立場の参加者をHPなどで募り、 多数が参加しました。 意見交換会の主催者である外務省と人権擁護を司る法務省(職員が出席)によって 適切な対応がなされなかったことについて、 公開質問状を送付しました。 「婚外子」差別に謝罪と賠償を求める裁判を支援する会 Association for the Support of Children out of Wedlock ………………………………………………………………………………………………… 外務大臣 町村信孝 様 法務大臣 鳩山邦夫 様 外務省総合外交政策局 人権人道課長 木村徹也 様 法務省 人権擁護局長 富田善範 様 「人種差別撤廃条約・政府報告に関する市民・NGOとの意見交換会」 (2007年8月31日) における名誉毀損・人権侵害事件に関する公開質問状 2007年8月31日、外務省本省・会議室にて「『あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約』政府報告に関する市民・NGOとの意見交換会(第2回目)」が開催されました。 この「意見交換会」は、人種差別撤廃条約(以下、条約)を締結した日本政府がその遵守に関する政府報告の作成のため、外務省人権人道課が主催し、法務省をはじめとする他の省庁からも条約遵守に関する担当者が出席しました。こうした一般公開の「意見交換会」に際し、国際人権水準の国内における実施を目指そうとする会合において、人権NGOの関係者からは、こうした場で、条約に反する差別発言が起きないよう司会の責任ある態度が要望されておりましたが、議場ではとくに差別撤廃を求める発言者に対する誹謗中傷、差別発言、名誉毀損発言が飛び交い、条約に期待して参加した発言者が深く傷つくという事態が起きたと私たちは考えています。 また、こうした事態が発生したにもかかわらず、日本政府、とくに国内人権擁護行政に責任をもつ法務省の担当者がまったく対応せず、主催者である外務省の担当者も「個人を対象にした発言をしないように」と注意するばかりで、差別者を抑止し、被差別者を擁護あるいは保護する対策が何ら講じられずに意見交換会が継続されようとしました。このような事態が起きたこと、さらにその後「意見交換会」が中断されたことに、差別行為を受けた発言者や出席していた私たちは大きな衝撃を受けました。同時に、こうした行為が行政担当者の目の前で、人権に関する会合で起きたことに対し、非常に残念かつ遺憾に思っています。 この点、意見交換会を主催された外務省および国内人権擁護行政の要ともいえる法務省に対し、この事態をどう考え、今後どのような対策を取られるのか、以下質問させて頂きます。ご多忙のところ大変恐縮ですが、9月26日(水)までに、ご回答頂けますようお願い申し上げます。 なお、ご回答につきましては、お答え頂けなかった場合も含め、マスメディアおよび関係媒体などを通じて公開させて頂き、またしかるべき法曹関係者と対応を協議したいと考えております。 1. 在日コリアンに対する差別について (1) 発言者Aさんが、実例として今春、娘が経験した就職差別について述べました。Aさんは、二社の例をあげ、面接時に「国籍は仕事をする上で支障をきたさないか」、「日本名も名乗れるはず」などと言われたこと、また結果採用されなかったこと、つまり、民族的出身を判断材料にするような差別がいまだに日本では起きているということを発言しました。 (2) Aさんの発言に対して、同意見交換会に参加していた人物Bが「日本国籍でなければ『区別』されるのはあたりまえ。差別ではなく区別。あなたの娘さんが採用されなかったのは民族差別ではなくあなたの娘さんの能力がないから」と発言しました。この発言は、発言者Aさんやその娘さんの名誉を棄損し、民族的出身に基づく差別を肯定するものです。 (3) 外務省人権人道課および法務省人権擁護局は、Bの発言をAさんに対する名誉毀損に相当する発言だと認めますか。あるいは、さらに、人種差別撤廃条約に違反する差別発言だと認めますか。もし、認めない場合、その理由を明確にしてください。 2. 婚外子差別について (1) 発言者Cさんは、婚外子差別が法制度上の差別を根拠に社会的差別についても容認する風潮があること、にもかかわらず婚外子についての人権啓発が全く行なわれていないことなどを発言しました。 (2) Cさんの発言に対し、上記の発言者Bは、「婚外子は不倫の子じゃないか。不倫の子は世界中どこでも差別されて当たり前だ」と発言し、謝罪を求める声に対し、「謝罪などしないぞ。私生子じゃないか。何度でもいってやる。私生子、不倫の子は差別されて当たり前だ」と繰り返しました。この発言は、発言者Cさんの名誉を毀損し、婚外子に対する差別を肯定するものです。 (3) 外務省人権人道課および法務省人権擁護局は、Bの発言をCさんに対する名誉毀損に相当する発言だと認めますか。日本政府は、あるゆる形態の婚外子差別の撤廃等を複数回にわたり国連から勧告されています。政府が締結している国際人権条約に違反する差別発言だと認めますか。もし、認めない場合、その理由を明確にしてください。 3. 運営責任・人権保護の責任について (1) 私たちは、これらの発言をまさに会合そのものが議題としている明確な差別発言であると考え、この会合の続行には、少なくともAさんやCさんへのBからの謝罪が前提であると要請しました。しかし、法務省は沈黙を守り、外務省の司会者は謝罪よりも会合の続行を優先しました。法務省が沈黙を守った理由、外務省が謝罪よりも会議の続行が優先であると判断した理由を明らかにしてください。 (2) 会合が流会になった後、AさんやCさんに関しては主催者である外務省から何らの説明も対応もなされていません。そうした対応が必要ないと考えているのであれば、その根拠をお聞かせください。また、何か予定がある場合には、それを教えてください。 (3) 人種差別撤廃条約やそれに関わる問題について一般公開で意見交換を行なう場合、今後もこうした事態の発生が懸念されます。たとえば前述のBは、これまでにもいわゆる「従軍慰安婦問題」についての市民集会を妨害した事実(威力業務妨害で2001年に懲役1年6カ月、執行猶予5年)があり、その後も市民集会などで妨害行為を行なっています。今後、条約に反する発言や行為が発生したとき、主催者である外務省と人権行政担当である法務省はどのように対処することをお考えですか。具体的にお聞かせください。 (4) 日本は国連人権理事会の理事国として、人権の最高レベルでの保障を国際的にも約束し、国際人権条約の遵守にも大きな責任を負っています。少なくとも、この事態は具体的に婚外子や外国人を含め広く人権教育、人権政策の失敗を示していると考えられますが、これに関して外務省と人権行政担当である法務省は、どのような対策をお考えでしょうか。 以上、質問いたします。回答をよろしくお願い申し上げます。 2007年9月14日 「人種差別撤廃条約・政府報告に関する市民・NGOとの意見交換会(第2回目)」出席者;以下署名省略 |
|
| ホーム |
|