国会チラシ
2008 / 06 / 22 ( Sun )
国連人権理事会は
女性を差別する法律の改正を勧告しました!!

2008年5月9日、国連人権理事会の普遍的定期審査(UPR)で、「女性に対し差別的な法規定を全て廃止すること」という勧告が下されました。

1975年7月1日に、国連がメキシコシティで開催した国際婦人年世界会議で採択された、「世界行動計画」の133において、婚外子は「嫡出子と同一の権利を持つべきである。」と宣言されています。

1985年に国連は十年に及ぶ成果をふまえて「国連婦人の十年」ナイロビ世界会議を開催して、7月26日に「婦人の地位向上のためのナイロビ将来戦略」を採択しました。

その74には「未婚の母や子供に対する差別を撤廃するための法、その他の適切な規定が制定されるべきである。」と宣言されています。

このような状況下で、国連女性差別撤廃委員会は日本国に対して、
「35.委員会は、また、戸籍、相続権に関する法や行政措置における婚外子に対する差別及びその結果としての女性への重大な影響に懸念を有する。」
という勧告を下しました。 (2003年 日本国報告・審査)

国際人権水準では婚外子差別は女性差別です!

 国連を中心とする国際社会は、あらゆる形態の婚外子差別の撤廃を求めています。自由権規約委員会や子どもの権利委員会等が、明白な条約違反であると指摘している民法における婚外子に対する相続分差別の撤廃は急務です。現在、上程されている婚外子相続分差別撤廃を含む民法改正案を審議入りし、参議院で可決させるのは国会議員の仕事です。

「婚外子」差別に謝罪と賠償を求める裁判を支援する会
Association for the Support of Children out of Wedlock
婚外子差別に謝罪と賠償を!(裁判情報) | トラックバック(-) | コメント(-) | page top↑
上告理由書
2007 / 11 / 04 ( Sun )
原判決の判断には憲法解釈の誤りないし憲法違反があるか、理由不備・理由齟齬があるので、民事訴訟法312条1項、2項6号の上告理由がある。

事案の概要

従来、婚外子は戸籍における父母との続柄欄に「男・女」という、およそ続柄を表さない差別記載がされ、それによって社会的差別が助長され、蔑視、侮辱等を招き、婚外子当事者は甚大な不利益と精神的苦痛を味わってきた。

その「男・女」という差別続柄を撤廃するにあたり、法務省はホームページ上の平成16年3月9日(火)野沢法務大臣(当時)閣議後記者会見の概要で明らかにしたように、「人権の基本に立って」議論をすすめた結果、婚外子に対する「差別があってはならない」 ので、「男・女」という雛形を削除するとした。

平成16年3月9日(火)野沢法務大臣閣議後記者会見の概要は以下のとおりである。
Q:変えることを決めたということでよろしいでしょうか。
A:昨日の決算委員会での答弁どおり,その方向で検討するということです。

Q:具体的には,国会のどこの場で議論することになりますか。
A:規則ですので,法務省だけでできます。

Q:そういう方向性を決めるに至った理由について,大臣はどのように考えていらっしゃいますか。
A:これは,国民の皆様からの御要請が第一にありますし,人権といいますか,生まれた子供たちにはいずれも差別があってはならないわけですから,その基本に立って議論を進めたということです。それから,国際的にも差別をしていないところが段々多くなっているということもございます。

このように担当大臣が、「人権の基本に立って」、「生まれた子供たちにはいずれも差別があってはならない」として続柄差別記載の撤廃を行うとしたにも関わらず、すでに差別記載のある戸籍の内で現行の除籍されていない戸籍のみを対象とし、その余のすべての戸籍には差別記載を維持するという通達を発出した。その理由として、公務員の事務量が増えることを挙げた。

これは、婚外子当事者である上告人の人権を低く見積もる行政の婚外子への差別意識のあからさまな表れであり、二重の侮辱であるとして、精神的苦痛に対する損害賠償を求めたものである。

原判決は、婚外子の「男・女」という続柄差別を、民法900条4号で婚外子相続分差別を定めているので、戸籍において婚外子であることが明確になるよう記載されても不相当とは言えないとして、最高裁平成7年7月5日大法廷決定で婚外子相続分差別規定は憲法に違反するものでないとされたことを根拠としている。

これでは、戸籍法の立法目的は相続分差別をさせるためであり、その立法目的達成手段として、戸籍において婚外子であることを明確に記載する必要があるとしているようなものである。

(1) 行政による人権侵害は違憲である。

婚外子相続分差別規定は、婚外子を社会的に差別しても違憲・違法ではないという法的根拠にはならない。

第11条 国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。

第97条 この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。

婚外子への法制度上の差別を根拠にして、社会的差別をしても差し支えないという間違った考えをすることが充分に推測できるので、国には婚外子に対する社会的差別を一切起こさせない責任が生じるのである。憲法擁護義務を定められた公務員には、当然その義務があるのである。

第99条 天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。

しかし、国は戦後全く婚外子について人権啓発をしてこなかったことで(この事実は、法務省人権擁護局に確認済みである)、婚外子が平穏な社会生活を送る上での安全配慮義務を怠ってきたのである。

そればかりか、国は戸籍法においては、嫡出か否かで、父母との続柄に異なる記載をもとめられていないのに、婚外子についてのみ「男・女」という差別続柄を記載して、婚外子に対する社会的差別を助長してきた。

婚外子の続柄が「男・女」とされたのは、かつて戸籍に「私生子男」「庶子女」と記載されていたところ、「私生子・庶子」という記載が子にとって不名誉であるとして、消除されたからである。結果としておよそ続柄を表さない「男・女」としたまま放置したのは、国の怠慢でしかない。

原判決は戸籍において婚外子であることを明瞭に記載することが、行政上必要であることを、なんら挙げることができなかった。ただ、相続分差別をいうのみである。

婚外子相続分差別は、親から子への相続で起こるのである。相続の開始には、被相続人の戸籍を死亡時まで全て集めて、相続人を確定するのである。そうであれば、親の戸籍から婚姻歴と子の有無がわかるので、子の戸籍に婚外子であることを記載する必要性はない。婚外子相続分差別は強行規定ではなく、補充規定にしかすぎない。あえて、人権侵害を行い自己の強欲を満たそうとする者の便宜を図る必要はなんらない。
 
一方、戸籍記載において婚外子であることが判明し、深刻な差別を婚外子当事者は被ってきたのである。戸籍法には、婚外子について異なる続柄を記載すべきとする条項はない。ことに、続柄欄は性別欄を兼ねているので、性別を証明する際に必ず求められ、確認するために注視されるのである。

婚外子は、その無目的な記載によって、就学、就職及び結婚等で戸籍を求められるので差別が助長され、また戸籍が人目にさらされることで差別され、蔑視、侮辱の対象とされるのではないかという怖れをいだかされているのである。

そして、幾多の裁判(国を相手どったものを含む)の判決中で、婚外子に対する就職結婚等の社会的差別等があることを指摘されながら、法務省人権擁護局は、現行憲法施行後、全く婚外子についての人権啓発を行っていない。(国として婚外子についての社会的差別についての啓発活動を全く行っていないことは、平成18年12月13日に、人権擁護局に確認済みである。)行政は婚外子続柄差別記載を強行することで、国民に婚外子は別異の劣位の存在であるという観念を生じさせて、婚外子に対する社会的差別すら肯定させる風潮を生み出す等、ひたすら婚外子差別を煽ってきたのである。

すなわち、続柄差別記載は、立法目的を達成するための手段として、著しく均衡を欠き、もっぱら他人に容易に婚外子差別を許し、婚外子当事者の精神生活を疎外し、精神的苦痛を与えるという不利益のみを婚外子に被らせてきたものでしかないのである。

戸籍上に身分関係を明示するという立法目的と、その手段としての婚外子続柄差別記載は、甚だしく均衡を欠くが故に、違憲無効であると、「コメント:婚外子戸籍記載変更請求事件」(国際人権十七号 2006年 現大阪大学法科大学院教授当時北海道大学教授 棟居快行)(甲第48号証)は、結論づけている。

このように、国民に婚外子は別異の劣位の存在であるという観念を生じさせる婚外子続柄差別記載によって、婚外子に対する社会的な評価を低下させるので、客観要件である名誉毀損罪が成立するのである。

最高裁第一小法廷判決 2003(平成15)年03月31日平成14年(オ)第1963号において、
「非嫡出子が本件規定によって受ける不利益は,単に相続分が少なくなるという財産上のものにとどまらず,このような規定が存在することによって,非嫡出子であることについて社会から不当に差別的な目で見られ,あるいは見られるのではないかということで,肩身の狭い思いを受けることもあるという精神的な不利益も無視できないものがある。」
と指摘した最たるものが、「男・女」という続柄差別である。

控訴審準備書面(1)( 平成19年3月 5日)第三 自己情報コントロール権と期待権(17〜20頁)に詳述したように、上告人の関連する戸籍に「男・女」という続柄差別が維持されることは、プライバシー権の侵害であり、自己情報コントロール権の侵害である。

「コメント:婚外子戸籍記載変更請求事件」(国際人権十七号 2006年 大阪大学法科大学院教授 棟居快行)(甲第48号証)によれば、従来、プライバシーについては、「私生活をみだりに公開されないという法的保護ないしは権利」とし、「いわゆる宴の後事件」(昭和39年9月28日下民集15卷9号)による判断が知られているとする。

1. 私生活上の事実、又はそれらしく受け取られるおそれのある事柄
2. 一般人の感受性を基準に当該私人の立場にたった場合に公開を欲しないであろうと認められる事柄
3. 一般の人にいまだに知られていない事柄

の三要件を掲げ、それは現在も広く支持されているとする。

この三要件に照らせば、婚外子続柄差別記載がプライバシー権の侵害となるのは明らかである。そもそも続柄差別記載は、当該私人が婚外子であるか否かを、戸籍を一見すれば明瞭に明らかにするために、法の明文による規定がないのに、法務省が規則のひな形で定めたものである。(法は父母との続柄を記載することを求めているが、婚外子について異なる続柄記載をすることを求めていない。)被控訴人国らによる、意図的なプライバシー権の侵害が、婚外子に対して、一貫して継続的に行われてきたと評価すべきである。

現行の除籍されていない戸籍以外の続柄の更正を拒否するのは、古典的プライバシー権の侵害であるばかりではなく、「自己の個人情報の開示および訂正を請求する権利を保護することにより、積極的に自己の個人情報に関与するいわゆる現代的、積極的意味におけるプライバシーの権利」としての、自己情報コントロール権の侵害である。

法務省ホームページ上の平成16年3月9日(火)野沢法務大臣(当時)閣議後記者会見の概要で明らかなように「人権の基本に立って」議論をすすめた結果、婚外子に対する「差別があってはならない」 ので、「男・女」という雛形が削除されたのである。

このように担当大臣が、「人権の基本に立って」、「生まれた子供たちにはいずれも差別があってはならない」として続柄差別記載の撤廃を行うとしたので、控訴人はプライバシー権等が回復されると期待したのである。そして、期待権、信頼利益は法的保護の対象である。

 婚外子続柄差別記載をプライバシー権の侵害とした、いわゆる戸籍続柄裁判地裁判決について、
憲法に合致せず
成城大学法学部の棟居快行教授の話
「戸籍が非嫡出子であることを殊更に明示することで子への社会的偏見を助長し、親の事実婚に筋違いのペナルティーを科すことは、個人の尊厳を基盤に据える憲法の家族観とも合致せず、行政上の必要性に厳格さを求める意味で、妥当な判決だ。」[朝日新聞2004(平成16)年3月3日社会面(38面)]
と、解説されたように、「行政上の必要性に厳格さを求める」判断をすべきである。

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控訴審準備書面(1)
2007 / 03 / 24 ( Sat )
第二 婚外子続柄差別記載の違憲性について

「コメント:婚外子戸籍記載変更請求事件」(国際人権十七号 2006年 現大阪大学法科大学院教授 当時北海道大学教授 棟居快行)(甲第48号証)によれば、嫡出非嫡出という社会的身分で個人を区別することの違憲性を度外視しても、続柄差別記載が違憲であることは、判決が確立してきた法理を当てはめることで、違憲という結論に至るのには充分であるとする。立法目的とそれを実現する手段が甚だしく均衡を欠くときには、いわゆる尊属殺人違憲判決(最高裁大法廷昭和48年4月4日判決 刑集27卷3号)にみるように違憲とされるのである。この論文は、2005年12月11日に、神奈川大学で開催された、第17回国際人権法学会で発表されたものである。この論文は、2004年11月1日に戸籍法施行規則が本件省令により改正された以降も、婚外子続柄差別の違憲性が強力に主張されていることの証明である。

棟居教授は、嫡出非嫡出という社会的身分で個人を区別することの違憲性を度外視するとした上で、続柄差別記載については、戸籍上に身分関係を明示することが立法目的であろうとする。しかしながら、続柄差別記載をしなくとも、身分関係を公証することはできる。現に、2004年11月1日以後に出生した全ての子について、続柄は「長男・長女」式に記載されているが、そのことで、身分関係の公証等に混乱を来したり、窓口業務に支障が生じた等という報道等は一切ない。これは、立法目的である身分関係の公証等に、婚外子続柄差別記載は全く不必要であることが証明されたということである。戸籍上に身分関係を明示するという立法目的と続柄差別記載を強行する事の間に実質的関連性はないのである。

その一方で、婚外子は続柄差別記載によって、就学、就職、結婚等で社会的差別を被ってきているのである。実際的に不必要な戸籍記載によって、甚大な不利益を被ることは、まさに「立法目的とそれを実現する手段が甚だしく均衡を欠く」としなければならない。

平成19年2月5日に控訴人は被控訴人国等に、この件で当事者照会を行った。

被控訴人国らに対して、

被控訴人らは、平成19年1月29日付けの答弁書において、婚外子を続柄欄において差別記載することは不必要とは到底言えないとしている。
それでは、実際に差別記載をすることが、どうような場合に必要であるのかを具体的に例を挙げて答えられたい。
また、戸籍事務において、法務局等からの問い合わせなどから、婚外子続柄差別が撤廃されたことで、業務に支障を来したことを把握しているのであれば具体的に答えられたい。一切問題がなかったのであれば、そのように回答されたい。
等という照会を行った。
もし、続柄差別記載が立法目的と実質的関連性があるのであれば、被控訴人は具体的に例を挙げて回答することができるはずである。

しかし、被控訴人国らは2月16日付けで、「答弁書における主張を正解せず、照会を求める前提を欠くから、回答の必要を認めない。」と回答した。

そこで、控訴人は平成19年2月17日に被控訴人国らに、改めて当事者照会を行った。

1. 民法において、婚外子差別規定があるので、それを戸籍に表記するという
抽象的必要以外に、続柄差別記載を具体的に必要とする事例があれば答えられたい。すなわち、実際に差別記載をすることが、どのような場合に必要であるのかを具体的に例を挙げて答えられたい。具体的な必要性がないなら、そのように回答されたい。
2. また、戸籍事務等において、婚外子続柄差別が撤廃されたことで、業務に支障を来したことを把握しているのであれば具体的に答えられたい。一切業務に支障を来さず、なんらの問題等の発生がなかったのであれば、そのように回答されたい。

これに対して、被控訴人国らは3月2日付け回答で2月16日付け回答を繰り返した。

戸籍に続柄を差別記載する具体的必要など全くないから、事例をただの一つも挙げられないのである。婚外子続柄差別が撤廃されたことで、業務に支障を来したことなどまったくないのである。

被控訴人国らは、続柄差別記載を維持したいなら、戸籍上に身分関係を明示するという立法目的を達成するためには婚外子続柄差別記載を、控訴人の関連する戸籍に今後も維持することが、必要不可欠であることを立証しなければならないのである。すなわち、婚外子続柄差別記載が立法目的を達成するためには具体的に必要であることの立証責任は、もっぱら被控訴人国らにあるのである。

2004年11月1日以降に出生した婚外子については、続柄差別記載は行われていない。戸籍上に身分関係を明示するという立法目的を達成するために続柄差別記載が必要不可欠であるのであれば、国自らが立法目的を果たす義務を怠ったという責めを負わなければならないのである。

被控訴人国らは、3月2日付け回答で、続柄差別記載が具体的必要とされる事例を答えることができず、続柄差別記載が更正されたことで不都合が生じた事例を答えることもできなかった。よって、続柄差別記載は無目的な記載であるという評価が下されることになる。

婚外子は、その無目的な記載によって、就学、就職及び結婚等で戸籍を求められるので差別が助長され、また戸籍が人目にさらされることで差別され、蔑視、侮辱の対象とされるのではないかという怖れをいだかされているのである。

そして、幾多の裁判(国を相手どったものを含む)の判決中で、婚外子に対する就職結婚等の社会的差別等があることを指摘されながら、法務省人権擁護局は、現行憲法施行後、全く婚外子についての人権啓発を行っていない。(国として婚外子についての社会的差別についての啓発活動を全く行っていないことは、平成18年12月13日に、人権擁護局に確認済みである。)行政は婚外子続柄差別記載を強行することで、国民に婚外子は別異の劣位の存在であるという観念を生じさせて、婚外子に対する社会的差別すら肯定させる風潮を生み出す等、ひたすら婚外子差別を煽ってきたのである。

すなわち、続柄差別記載は、立法目的を達成するための手段として、著しく均衡を欠き、もっぱら他人に容易に婚外子差別を許し、婚外子当事者の精神生活を疎外し、精神的苦痛を与えるという不利益のみを婚外子に被らせてきたものでしかないのである。

戸籍上に身分関係を明示するという立法目的と、その手段としての婚外子続柄差別記載は、甚だしく均衡を欠くが故に、違憲無効であると、「コメント:婚外子戸籍記載変更請求事件」(国際人権十七号 2006年 現大阪大学法科大学院教授当時北海道大学教授 棟居快行)(甲第48号証)は、結論づけている。

このように違憲無効と断罪される婚外子続柄差別記載を、婚外子の関連する戸籍において今後も維持するという通達が発出されていることを、被控訴人国は国際社会に対して隠蔽しようとしている。

市民的及び政治的権利に関する国際規約(国際人権自由権規約)第40条1(b)に基づく第5回政府報告(2006年12月)によると、

第26条:法の下の平等
1.嫡出でない子の取扱い
(1)嫡出でない子の相続分
358.嫡出でない子の法定相続分を嫡出である子のそれの2分の1としている我が国の民法の規定(第900条第4号ただし書)については、法律上の婚姻により成立する夫婦とその間の子からなる家族を保護する目的で設けられた合理的なものである。ただし、相続をめぐる社会の状況の変化に応じて、制度を見直していく必要があることは、第4回報告のとおりである。
(2)戸籍上の表記
359. 戸籍上の表記の違いについては、民法上、嫡出子と摘出でない子の区別が存在することから、親族関係を登録・公証することを目的とする戸籍において、この区別をそのまま記載しているものであって、不合理な差別とは言えない。
しかし、戸籍の父母との続柄欄の記載方法については、2004(平成16)年3月2日に東京地方裁判所で言い渡された判決(同裁判所1999(平成11)年(ワ)第26105号事件)において、戸籍の父母との続柄欄における嫡出子と嫡出でない子を区別した記載について、プライバシー権との関係で問題を指摘する判断が示された。
この判決の指摘や父母との続柄欄の記載を改めたいとする国民からの要望なども踏まえて、2004(平成16)年11月1日法務省令第76号をもって戸籍法施行規則の一部が改正され、嫡出でない子の戸籍における父母との続柄の記載は、嫡出子と同様とすることとされ、従前の戸籍記載については、当事者の申出に基づいて更正できることとされた。

という記述がなされている。

まるで続柄差別記載がすべて更正可能であるという誤解を与えかねない記述である。従前の戸籍記載の一部についてのみ更正することができるにすぎないにも関わらず、あたかも従前の戸籍記載の全てを更正することが可能であるかのような誤読を誘う記述である。「従前の戸籍記載については、当事者が申し出をしても、現行の除籍されていない戸籍以外の更正を認めず、従前の戸籍記載の全てを更正させずに、従来通りに続柄差別記載を維持することとした。」とするのが、正確な記述である。

この第五回政府報告は、日本の戸籍制度に、規約人権委員会が不案内であろうことをあてにして、まるで差別続柄が全て更正されて問題を解決することができるかのような誤解を誘う記述をしている。規約人権委員会を欺罔し、愚弄するものと言わざるを得ない欺瞞的な政府報告である。

国際人権自由権規約
26条(法の前の平等・法律の平等な保護を受ける権利)
すべての者は、法律の前に平等であり、いかなる差別もなしに法律による平等の保護を受ける権利を有する。このため、法律は、あらゆる差別を禁止し及び人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治的意見その他の意見、国民的若しくは社会的出身、財産、出生又は他の地位等のいかなる理由による差別に対しても平等のかつ効果的な保護をすべての者に保障する。

によって、婚外子に対するあらゆる形態の差別は、条約違反の推定をうけているのである。それを熟知しているので、全ての続柄差別記載が更正可能であるという誤解を誘う記述をしているのである。

第5回報告では、「相続をめぐる社会の状況の変化に応じて、制度を見直していく必要があることは、第4回報告のとおりである。」と言う。

第4回政府報告(1997年)によると、
第26条
嫡出でない子の相続分
(a) 政府の取組
 嫡出でない子の法定相続分を嫡出である子のそれの2分の1としている我が国の民法の規定(第900条第4号ただし書)については、第3回報告の審査を踏まえて出された人権委員会の意見において、本条に適合しない旨のコメントが出されたところであるが、我が国としては、嫡出である子と嫡出でない子との法定相続分に差異を設けることが、直ちに嫡出でない子を不合理に差別するものとは考えていない。

 しかし、相続制度の在り方は優れて立法政策上の問題であることから、相続をめぐる社会の状況の変化があれば、これに応じて、この制度を見直していく必要があることはいうまでもない。こうした観点から、我が国政府は、現在、嫡出である子と嫡出でない子の法定相続分を同等化する法改正を検討しているところであり、法務大臣の諮問機関である法制審議会が1996年2月に答申した「民法の一部を改正する法律案要綱」において、そのような改正方向が示されている。

それでは、第4回政府報告(1997年)に明記された、法制審の答申はどうなったのか。婚外子差別については、第3回規約人権委員会日本国審査(1993年)において、厳しく規約違反を指弾されている。これは、準備書面(2)89〜102頁に詳述したところである。
以下に、その規約人権委員の日本国に対する発言の一部を抜粋する。

「我々は婚外子は付加的な保護を必要とするということに皆同意することができると思います。平等の保護のみでなく、付加的な保護であり、また(婚外子であることによって)罰を受けることがあってはならないのです。非嫡出子に関しては、両親が罰を受けることがありえても、子どもが罰を受けることがあってはならないのです。」

「婚外子が嫡出子と同じ割合の相続分を受け取ることができないという出生による差別に関して、私は、前の発言者のコメントと同様の考えを持っております。民法は、その点に関して規約を遵守するものではありません。それは規約が禁止する差別にあたると思います。國方氏は、我々にその正当事由あるいは婚姻の保護について説明して下さいましたが、婚姻の保護と非嫡出子である子どもの保護、子どもの置かれた状況およびその将来とは、まったく関連すべきことであると思いません。子どもは当該の関係に何らの参加もしていないのであり、彼は、そのような規定の犠牲者です。したがって、それは、適正な正当事由ではないと思います。この件では、規約違反があると思います。」

「議長、婚外子に関して代表団が述べたことは、その点に関して差別を正当化するものではありません。嫡出子の相続分の半分しか婚外子が相続できないという事実は、明らかな差別であり、また出生登録(戸籍登録)における氏名に関しても差別があります。この分野に関して、日本は法律を改正し、婚外子に完全な平等を実現するという規約上の責任を有しています。」

「婚外子差別が存在するのみならず、正当化されているという話を聞いて、驚きを禁じえなかったわけです。相続事項に関して婚外子が差別される旨を規定する民法第900条は、規約違反です。明確に規約違反です。委員会も規約24条に関するジェネラル・コメントにおいて、相続を含むあらゆる領域における差別について言及しています。マブロマティス氏が既に述べたことを繰り返しませんが、子どもの差別に関するその他の規定もあるわけであり、出生の登録や通知など、差別の根拠とされる事項を含めて、それは出生後の社会における婚外子の差別となります。この問題は、私にとって非常に重要なものであり、代表団がただ今説明したような家族を保護するための法秩序をもってしても、子どもの権利を阻害するようなものとして確保されることがあってはならない、というのが私の意見です。その他の方法によって達成されなければなりません。私が申し上げたいのは、家族の保護をもってしても、婚外子という家族の1員が保護されない事態が生じてはならないのです。もし第1次的保護が家庭内の保護であるとしても、なぜ社会が、家族自身を保護しようとしない家庭を保護しなければならないのか理解できません。当該の状況に関してまったく責任を有しない子どもの利益を害するような仕方で、家庭を保護する理由はないのです。」

第5回政府報告は、婚外子に対する相続分差別について「法律上の婚姻により成立する夫婦とその間の子からなる家族を保護する目的で設けられた」と言う。しかし、婚外子について「両親が罰を受けることがありえても、子どもが罰を受けることがあってはならないのです。」という規約人権委員会の審議録に照らせば、「罰を受ける」べき婚姻外の関係を持った婚外子の親を含む家族を保護する目的を持つと解せられる。すなわち、「罰をうける」べき者を保護するという、正義に反する法制度を持つことを日本国として、ためらいもなく主張している。また、すでに法律婚主義をとりながら婚外子差別を撤廃した諸外国を、差別の撤廃は法律婚家族の保護に欠けると暗に批判するようなものである。

1996年の法制審答申による法改正は、未だ行われていない。その上で、第5回政府報告は、完全に排斥された主張を繰り返している。
第4回政府報告では「改正方向が示されている。」というが、法制審答申後11年を経ても法改正がなされず、立法不作為の状態である。では政府は、この11年間になにをしてきたのか。

日本女性差別撤廃条約NGOネットワーク(JNNC)のホームページに、政府がこの11年という長い年月になにをしていたのかについての記述がある。2003年の女性差別撤廃委員会日本国審査に向けての、政府との話し合いの中で明らかにされている。
http://www.jaiwr.org/jnnc/japanngoanswersjp.pdf
法制審議会の民法改正答申(1996年)では夫婦別姓や相続差別撤廃が打出されていたが、「夫婦別姓は家族を崩壊させる」という反対論が跋扈し、一部与党国会議員や男女平等社会の実現に反対する勢力の強い反対により未だに法案提出も行われていない。
01年5月実施の世論調査でも夫婦別姓に賛成する人が反対する人を上回ったが与党内の一致が見られていない。こうした事態を打開できる方策が見えないまま、別姓での結婚を望みながら待っている男女のカップルが増加している。
また婚姻最低年齢の平等化、再婚禁止期間の短縮などについても、民法改正は実現しないままである。
このかん法務省が与党へ提示した民法改正案は、夫婦別姓にしぼり相続差別規定の撤廃は含まれていない(但しこの民法改正案すら国会提出の目途は立っていない)。今年(2003年)3 月14 日にNGOが法務省との話合いをもち、その理由を尋ねたところ以下のような回答を行っている。
「与党内部においてこの相続差別の撤廃については反対意見が多いため、比較的とおりやすい別姓法案から提出を考えた」との理由であり、相続差別撤廃への反対意見としては、「婚姻届を出さないという選択を母自身が行ったのであるから、その結果も引き受けるべきである」「日本の家族制度は婚姻家族の保護を前提にしているから」などがあげられていた。またその場で、「相続差別撤廃がなぜ必要なのか、撤廃は緊急課題である」という内容の冊子を作成し、与党の議員への働きかけを強めるべきではないか、と要請した。しかし法務省としては、「いまのところ冊子を作ることは考えていない」とのことで、差別撤廃に向け積極的に現状を打開しようという考えは持っていない。
婚外子への相続差別規定について最高裁大法廷は1995年に合憲判決(人権諸条約に一切触れていない)をだしたが、この最高裁判例を踏襲し今年(2003年)3月28日に最高裁第二小法廷で、3 月31日には最高裁第一小法廷で連続して合憲判決が出された(二つの判決とも、5人中2人の裁判官が違憲とする反対意見を述べている)。ただこの31日の最高裁第一小法廷判決で特筆すべ
きは、合憲判決に賛成した裁判長が補足意見として「明らかに違憲であるとまでは言えないが、極めて違憲の疑いが濃い。法制審議会での相続規定の同等化の答申や国連規約人権委員会による相続規定の同等化の勧告などに鑑み、相続分を同等にする法改正を立法府により可及的速やかになされることを強く期待する」と述べたことである。
この判決を受けて4月1日に国会で政府へ質問が行われたが、「国民各層や関係各方面における議論の推移を踏まえ、大方の国民の理解を得ることができるような状態で法改正を行うことが適当」と政府は答え、直ちに法改正を行うことはなお考えていない。しかしこの相続差別の撤廃は急務である。子どもは親を選んで生まれてくることはできないにもかかわらず、そんな親の下に生まれて悲運だったのだと子どもに言っているに等しい現在の法律を放置することは許されないと考える。

法務省は、婚外子差別撤廃の民法改正案を提出できない理由を、「与党内部においてこの相続差別の撤廃については反対意見が多いため」としながら、「『相続差別撤廃がなぜ必要なのか、撤廃は緊急課題である』という内容の冊子を作成し、与党の議員への働きかけを強めるべきではないか、と要請した」に対して、「いまのところ冊子を作ることは考えていない」と回答した。すなわち、民法改正についてなんらの努力もしていないし、するつもりもないことが暴露されている。

「与党内部においてこの相続差別の撤廃については反対意見が多いため、比較的とおりやすい別姓法案から提出を考えた」のであれば、政府報告書における「相続をめぐる社会の状況の変化に応じて、制度を見直していく必要がある」という記述は欺瞞的である。政権の座にある者の意見に追随し、条約締結国の義務を果たすような努力を自ら放棄し、自己の責任を「社会の状況」にすり替えるなど許されない。「社会の状況」、すなわち国民に責任を転嫁しようとする政府の卑劣な態度は、断罪されなければならない。

政権与党におもねり、条約締結国の義務を果たそうとしない政府自身の態度の帰結として、政府はもはや自己弁護としてすら法制審答申を持ち出すことが出来ないのである。その結果として、必ずや規約人権委員会で厳しく批判されるであろう記述しか政府報告書に記載できなかったのである。これらは全て政府の、無能、無策、怠慢のしからしめるところである。

第4回政府報告(1997年)で述べた法改正への努力をせず、挙げ句の果てに、婚外子の関連する戸籍に続柄差別を維持するという通達を発出したのである。戸籍上に身分関係を明示するという立法目的と、その手段としての婚外子続柄差別記載は、甚だしく均衡を欠き違憲であるという状況は今後も継続されるのである。しかも、そのことを正確に規約人権委員会に報告しないという悪辣さである。

戸籍上に身分関係を明示するという立法目的とそれを実現する手段としての続柄差別記載が甚だしく均衡を欠くので、続柄差別記載は違憲であり、条約違反である。

被控訴人国らは、戸籍上に身分関係を明示するという立法目的と続柄差別記載を強行する事の間に実質的関連性があることを証明しなければならないのである。


求釈明

3.民法において、婚外子差別規定があるので、それを戸籍に表記するという
抽象的必要性以外に、続柄差別記載を具体的に必要とする事例があれば回答せよ。すなわち、実際に差別記載をすることが、どのような場合に必要であるのかを具体的に例を挙げて答えよ。具体的な必要性のある事例がないなら、そのように回答せよ。

4. 戸籍事務等において、婚外子続柄差別が撤廃されたことで、自治体窓口等で業務に支障を来したことを把握しているのであれば具体的に回答せよ。一切業務に支障を来さず、なんらの問題等の発生がなかったのであれば、そのように回答せよ。

裁判所におかれては、被控訴人国らが続柄差別記載の具体的必要性がないのに、今後も控訴人の関連する戸籍に続柄差別記載を維持する通達を発出したことが、違憲であり、日本国が締結した条約、国際人権自由権規約、国際人権社会権規約、子どもの権利条約、女性差別撤廃条約に悉く違反することを認識せられて、損害賠償等を認める判決を下されることを求めるものである。

婚外子差別に謝罪と賠償を!(裁判情報) | トラックバック(-) | コメント(-) | page top↑
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