社会権規約委員会は婚外子差別撤廃を求めています
2013年度に予定されている社会権規約第3回日本国報告書審査に向けた作業部会が、ジュネーブの国際連合事務局において開催されました。日本政府に対する事前質問書(リストオブイシュー)作成のための人権NGOによるプレゼンテーションが、5月21日に行われました。 当会からは、 ① 相続分差別を撤廃するための行程表を具体的に策定しているか? ② 国籍取得届の提出のみで国際婚外子の日本国籍取得を認める用意はあるのか? ③ 法と行政から嫡出概念を廃棄することをどのような手順で行う予定か? ④ 戸籍の記載の方法を抜本的に改めて、婚外子であることが弁別できないようにするために、どのような方法をとるつもりか? ⑤ 婚外子差別を明示的に禁ずる法律を制定する用意はあるか? ⑥ 行政官僚並びに広く一般市民に、婚外子差別を撤廃するために、教育および意識啓発のための大規模なキャンペーンを行う予定はあるか? という事前質問を求めるための情報提供を行いました。 これらは、前回(2001年)の第2回日本国報告書審査総括所見(裏面参照)で勧告されたにも関わらず、全くというほど国内実施されなかったものです。 前回勧告の「婚外子に対するあらゆる形態の差別を解消するために緊急に立法上および行政上の措置をとること、さらに当事者の規約上の権利(第2条2項および第10条)を回復することを促す。」ことを、具体的に国内実施するために、国の行うべきことをまとめたものです。本来は、2001年の勧告を受けて、国が自ら施策として行うべきことを述べたに過ぎません。 これらのことを行っていないということは、「婚外子に対するあらゆる形態の差別を解消する」という社会権規約委員会の勧告を実行して、国際人権条約を守ろうとする順法精神が、日本国に欠如していることを意味します。 「婚外子」差別に謝罪と賠償を求める裁判を支援する会 Association for the Support of Children out of Wedlock スポンサーサイト
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出生届の嫡子か否かのチェック欄は、
国連の人権条約機関から削除を勧告されています! 最高裁第1小法廷は2013年9月26日、出生届に嫡出子かどうかの区別を記載するよう義務付けた戸籍法の規定は「必要不可欠とは言えない」との初判断を示した。法務省は出生届の記載について戸籍法の改正を検討している。 兵庫県明石市は、10月1日、「最高裁判決などを受けて市としての対応を決め」、嫡出子か嫡出子でないかを尋ねる項目を削除した出生届の使用を同日から開始したと発表した。泉房穂市長は「婚外子差別の解消のため、何かできないか考えていた。いろいろな事情を抱えた市民がいることを受け止めたい」と述べた。 法務省は、「現行法上は統一書式を使わなければならず、明石市の対応は違法の可能性がある」とし、神戸地方法務局が従来の様式に戻すよう文書で指示した。文書は、3日に明石市に届いた。 国連自由権規約委員会は、国際条約に違反しているとし、出生届に「嫡出」であるか否かを記載しなければならないとする戸籍法の条項を除去するように、勧告している。(第5回日本国報告書審査2008年)国際条約は、国内法に対して、上位規定である。 法務省は、国連から、文書で指示されたにも関わらず、国際法違反を放置してきた。すなわち、法務省は、戸籍法の上位規定である国際法違反の指示をしたことになる。 法務省は、戸籍法の改正を検討しているのであれば、明石市の英断を歓迎すべきである。明石市への指示が、先んじられたことへの不快感の表れなら、「人権を司る」とする法務省として、失格である。 「婚外子」差別に謝罪と賠償を求める裁判を支援する会 Association for the Support of Children out of Wedlock |
米合衆国国務省による
国別人権報告書が婚外子差別を取り上げました! アメリカ合衆国国務省によって、世界各国の人権状況をまとめた年次報告 「2011年国別人権報告書」が、5月24日に発表されました。 アメリカでは、1972年に連邦最高裁が、「(婚外子差別は)各時代を通じて婚姻外の交わりに対する社会的非難をあらわしてきた。しかし、子どもにこのような非難を浴びせることは、不合理でかつ正当でない。」として、婚姻制度を尊重する為という婚外子差別を正当化してきた論理そのものを完全に否定する判決を下しました。婚外子差別は、「我が国(アメリカ合衆国)の法制度の基本理念である『法的負担は、その行為叉は過ちを犯した本人にのみ課せられる』という方針に反する。」ことを認めました。婚外子に不利益な処遇をしても、「その父母の婚姻外の性交渉をくい止めるには何の効果もないばかりでなく、法律的に見て不正である」と明快に述べました。このように、アメリカ合衆国において、婚外子差別は「法的に正義に反する」ことが宣言されました。 この判決を受けて、1973年に統一親子法典が編まれ、「嫡出か否か」という区別自体が差別的であるとして、嫡出概念そのものが法制度から駆逐されました。 「婚外子」差別に謝罪と賠償を求める裁判を支援する会 |